舞台で悲しみにくれる動きをする人形。その脇にズラリと並んだ子どもたちが三味線をバックに一斉に声を張り上げる。和歌山市野崎の野崎小学校で9月29日、淡路人形座の人形浄瑠璃(じょうるり)公演に6年生が参加した一幕だ。子どもたちは「リズムを取るのが難しかったけど、本番はまずまず」とほっとした表情を浮かべた。

 淡路島を拠点に活動する淡路人形座が各地で行うワークショップの成果発表会。6月に同小を訪れ、人形の動かし方や語り方を指導し、子どもたちは人形を操る係、声を出す太夫(たゆう)係に分かれ、練習を重ねた。

 公演当日は全校児童、保護者、地域の人たちが見守る中、「生写(いきうつし)朝顔日記 大井川の段」を上演。太夫の27人が語りを披露した。高橋心菜(ここな)さんは「悲しい雰囲気を自分なりに出せました」とほほえみ、惣木勇登くんは「最後に全員が声を合わせるシーンで、みんなの心が一つになればと思ってやりました」。

 続いて、「戎舞(えびすまい)」では、主役の戎に酒をつぐ2体の人形を3人ずつに分かれて動かした(写真)。足を担当した田本海斗くんは「普通に歩いているように手でやるのが難しかった」。緊張していた廣瀬琴音さんは「拍手をもらうと楽しくなって、もう1回やりたくなった。拍手にそんな力があると分かった」と笑みを見せた。

 公演後、人形座の吉田史興(しこう)さんが「淡路の伝統文化に触れることで、自分たちのまちにも独特の文化があることを知ってほしい」と話しかけた。

(ニュース和歌山/2017年10月7日更新)