和市移民資料室と協力約束

 ハワイにある日本人移民の資料を所蔵するハワイ日本センターのアーノルド日浦所長が11月14日、和歌山市民図書館の移民資料室を訪れ、互いの取り組みや所蔵物について意見交換した。日浦所長は「充実した資料や、和歌山市出身の画家、ヘンリー杉本が第二次大戦中に収容所の様子を描いた絵が印象深い。調査研究や移民展で助け合える大きな橋ができた」と喜んだ。

 ハワイへの移民は1868年に始まり、和歌山からは85年に22人が渡ったのが最初。同センターは日系移民の歴史、文化継承を目的に2002年に開館した。新聞や雑誌、書籍のほか、浮世絵や書、陶磁器を展示する。

 日浦さんは14年の所長着任後、カメラや録音機を備えたスタジオを整備し、資料のデジタル化や、高齢者の体験談や言い伝えの録音に力を入れる。「移民2世の多くが90歳を超えていますので、記録を急いでいます」

 市移民資料室は1984年オープンで、公立図書館の移民資料室としては全国唯一。1万冊の書籍や1000本の新聞マイクロフィルムを所蔵し、ハワイへの移民者名簿や100年以上前のハワイの新聞もある。

 日浦さんはロサンゼルスの全米日系人博物館で学芸員として勤務した経験から、同館やホノルルの日本文化センターと関係が深く、データ化した資料を他の資料館でも見られるよう検討中。同資料室の中谷智樹さんも「和歌山とハワイで貴重な資料を共有したい」と考えている。

写真=中谷さん(右)の説明を聞く日浦さん

(ニュース和歌山/2017年11月22日更新)