ベートーヴェンの手紙全訳も

 紀州徳川家16代目当主、頼貞の西洋音楽関連資料コレクション「南葵音楽文庫」の研究成果をまとめた冊子(写真)を3月19日、和歌山県立図書館が発行した。

 南葵音楽文庫は、頼貞がイギリス外遊時に集めたものを元に成立。豊富な楽譜や歴史的に有名な音楽理論書、よく知られた作曲家の自筆文書を含め2万点を超える。

 今回掲載したのは、ベートーヴェンの自筆書簡の下書き、ヘンデルの自筆と伝わる演奏法の書き込みに関する論文など。ベートーヴェンの資料からは、作品に対する自負心や、出版社にどう売り込むか頭を悩ませる姿がうかがえる。執筆者の一人、慶応義塾大学の美山良夫名誉教授は「自筆のため読み方が分からないままだったものを解読しました。全訳を読み、ベートーヴェンの魂に触れてほしい」と話す。

 このほか頼貞が西洋での音楽体験を書いた『薈庭樂話』、日本のユネスコ加盟、ローマ法王との会見について語った『賴貞随想』の著作2点を紹介した。

 同館ほか県内図書館で閲覧可。今後も研究を進め、毎年発行する。また、毎週土曜に同文庫研究員による講義を行っている。無料。申し込み不要。詳細は県立図書館HP

(ニュース和歌山/2018年3月28日更新)