和歌山電鐵大池遊園駅前にある築80年の農業倉庫が、沿線の魅力を発信する拠点に生まれ変わる。市民グループ「おいけファーム」の取り組みで、6月22日㊏に農産物直売所「おいけのまど」としてオープン。7月15日㊊には黒枝豆の収穫体験参加者向けに1日限定のビアガーデンを開く。会を引っ張る落合彩矢さん(44)は「農業体験を織り交ぜたイベントを通じ、自然に触れたいというニーズを満たすことで紀の川市にかかわる人口を増やしたい。目標は耕作放棄地を再生させ、農業振興につなげることです」と張り切っている。

築80年の倉庫 直売所に再生〜収穫体験やビアガーデンも企画

 倉庫は貴志川の専業農家でメンバーの林大輔さん(40)が所有。大池遊園に動物園があった1950年代、曾祖父母が食堂を開いていた。57年のみさき公園開園後は客足が遠のき、閉店後は農業倉庫に。近年はほとんど使わず、廃屋になっていた。

 会が立ち上がったのは5月。昨年秋に紀の川市が開いたインバウンドセミナーの受講者で結成した。農家、木工作家、会社員など様々な職種の6人が集まり、貴志駅前で地元の農作物や加工品を販売。農業体験メニューも開発しようと休耕地を活用して黒枝豆の栽培を始めた。

 黒枝豆の売り方を話し合う中で、「とれたての枝豆があれば、ビールを飲みたい」との声が上がり、ビアガーデンをすることに。会場は、電車でアクセスできるため気兼ねなくビールを飲めて、林さんが農産物の直売所にしようと考えていた駅前の農業倉庫に決めた。

 5月にメンバーでリノベーションを開始。柱や壁の木材を磨いてペンキを塗り直し、滑りが悪くなった引き戸の敷居をきれいにやり直すなど、資材を持ち寄って進めてきた。木工職人の樫尾善成さん(37)は「周りの里山の風景となじむ古民家のたたずまいが良い。特徴的な格子天井やしっくいなど、なるべく古さを生かした拠点になりました」と喜ぶ。

 昨年、東京からIターンで和歌山に来たメンバーの石渡康太さん(38)は「周りは田んぼが広がり、土やわら、草の匂いが感じられるのが魅力。虫の声だけが聞こえる静かな場所でリラックスしてもらえれば」と、水田と大池の美しいパノラマ風景が望める窓からの景色に自信を見せる。

 直売所は22日以降㊏㊐午前10時〜午後3時に開き、林さんの農園でとれる枝豆や桃などを販売する。林さんは「代々、貴志川線とのかかわりが深く、学生時代から乗って親しんできた。沿線の活性化と和歌山電鐵の乗客増加につながれば」、落合さんは「今後は農作物だけでなく工芸品の販売や様々な体験イベントの窓口となり、地域ににぎわいを取り戻し、地元に密着した交流拠点にしたい」と描いている。

 7月15日は午前9時半、西山口駅集合。黒枝豆の収穫体験と大池遊園駅までの散策後、枝豆を使ってピザを作り、生ビール(子どもはソフトドリンク)で乾杯する。3500円、小学生以下1500円。定員20人。希望者は11日までに落合さん(oikefarm8848@gmail.com)。

写真=水田と貴志川線を背景に話し合うメンバー

(ニュース和歌山/2019年6月22日更新)