マスターズ甲子園に参加 井上紘一さん・林義亨さん

 元高校球児が再び夢をはせるマスターズ甲子園。大会は今年で16回を数えるが、和歌山からは昨年が初参加。事務局として和歌山大会実施に動いた市立和歌山商業(現・市立和歌山)OBの井上紘一さん(42)と、呼びかけにいち早く応じた那賀野球部OB会長の林義亨さん(45)が、いくつになっても追い続ける「甲子園」への夢を語る。(文中敬称略)

高校名背負い 重み実感

── 「甲子園」という言葉に反応してしまいますか。

井上 野球をしていた人なら特別な思いがある場所。「もう一度目指そう」と、年齢に関係なくOBが集まりました。ワイワイ言いながら野球をして、絆が強まっています。

 那賀はこれまで甲子園出場がありません。話が来た時、「現役より先に出よう」と盛り上がりました。みんなワクワク感があり、同じように動き始めていた向陽と練習試合をして準備を進めました。

 

── 紀三井寺球場でも試合をします。

井上 和歌山の球児にとって紀三井寺は聖地です。先日の予選相手が、高3の決勝で当たった日高中津。センターを守りながら、優勝を決めた高校時代を思い出していました。

 高校名を背負い、紀三井寺で硬球を使って試合をすることに重みを感じます。対戦相手のユニフォームも懐かしい反面、公立高同士だと「負けたくない」と気持ちが高ぶります。

 

── 高校卒業後も野球を続けましたか。

井上 広島カープの指名を受け、5年間お世話になりました。阪神戦で遠征に行く時は、「また、甲子園でできる」と嬉しかったですね。退団後、和歌山のバッティングセンターで子どもたちの指導を始め、2009年には独立リーグの紀州レンジャーズにコーチ兼任選手として参加。昨年からは、野球道場で精力的に指導しています。

 大阪工業大学で野球を続け、卒業後は軟式で野球をしています。久々に硬球を使うと打球の速さに驚きますが、真剣味が増す。練習試合で負けた後、みんなで那賀高のグラウンドに行き、目の色を変えてバッティングマシンで打ち込みました。

 

── マスターズ大会に参加して。

井上 甲子園に出た時、応援や寄附でサポートしてもらった分、恩返しをしないといけないと思っていました。大人が本気で楽しめる大会にしていくと共に、例えば、開会式で子どもたちにグラウンドに来てもらい、お父さんたちと一緒に野球に触れられる場にしたい。

 OB会はありますが、硬式はおろか、軟式でも野球をすることは無く、参加がOB会活性化につながりました。マスターズでも甲子園への道は遠いと痛感しましたが、あきらめず、「いずれは」という気持ちでやってます。

 

── 現役生に贈る言葉を。

井上 失敗はするものです。だが、それをみんなで取り返せるのが野球。失敗を恐れず、思い切ってプレーしてください。

 試合で練習以上のことはできません。実力の7割を出せればOKぐらいの気持ちで、積極的に試合に臨むことが大切です。

写真=甲子園を目指した紀三井寺公園野球場で

 

井上 紘一(いのうえ・こういち)
市立和歌山商業時代の1994年、4番センターで甲子園出場。広島カープにドラフト7位で入団し、99年まで在籍。スポーツトレーナーとして活動後、昨年開設した野球道場ライジングスターで子どもたちの指導に当たる。

林 義亨(はやし・よしゆき)
那賀ではキャプテンでショート。2年の秋季大会で県ベスト4。大阪工業大学でも内野を守り、4年でサードのポジションをつかむ。卒業後は軟式野球チームに入り、今度はピッチャー一筋。マスターズでも登板を重ねる。

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マスターズ甲子園和歌山大会

 7月7日㊐午前8時30分から予選リーグ最終節、8月11日㊐午前9時から準決勝、決勝。いずれも紀三井寺公園野球場で開催。

(ニュース和歌山/2019年7月6日更新)