♪トントン トンマカマ 紀州は紀の川…♪ 紀の川市の旧粉河町の魅力を歌った盆踊り『粉河トンマカ』を復活させようと、粉河高校生がプロジェクトを立ち上げた。踊りを知る地域のお年寄りに教わり、8月24日㊏午後3時から同市粉河の元粉河中学校で盆踊り大会を開催。プロジェクトを引っ張る松原女依(めい)さん(17)は「伝統を自分たちが引き継ぎ、地域の踊りとして粉河祭でも再び踊られるようになれば」と張り切る。

高校生がプロジェクト〜8月に盆踊り大会開催

 「トンマカ」とは、毎年7月の最終㊏㊐に開かれる紀州三大祭の一つ、粉河祭でだんじりの運行に合わせて打つ太鼓の音に由来する。盆踊りは1971年、当時粉河町役場に勤めていた保田耕志さん(故人)が、趣味で作詞したり詩集を出したりする中で、「地元の盆踊りを」と歌詞を書き、県内の校歌などを手がけていた北原雄一さん(故人)が曲を付けた。

 かつては粉河祭や地区の祭りで踊られた。祭が近づくと夜な夜な住民が集まって練習に励み、祭後は宴会で親ぼくを深めた。粉河まちづくり塾顧問の楠富晴さん(67)は「粉河祭では、地元の銀行や商工会婦人部など企業や団体が連をつくって参加し、お盆に帰省した人も輪に入り、旧交を温めました」。30年ほど踊られたが、紀の川市が誕生した2005年以降、粉河祭で曲は流れなくなり、踊りを知らない人が増えた。

 復活プロジェクトは、高校生と住民が地域の課題解決を目指す粉河高の取り組み「KOKO塾」の生徒約10人が企画。今年度の活動を話し合う中、住民から「盆踊りの復活を」と声が上がった。

 7月19日は、今も夏の終わりの地蔵盆で踊っている栄町地区の3人から手ほどきを受けた。「くるくる手を回して」「手を挙げてターン」。何度も曲を流していると、振りがそろってきた。横井奏人(みなと)さん(16)は「初めは難しいと思いましたが、繰り返しが多く、踊れそう」と笑顔。

 指導した増田弥生さん(79)は「栄町はだんじりを出さない地区で、盆踊りを大切にしてきました。踊り手が減る一方、だれに伝えようか悩んでいましたが、高校生が興味を持ってくれてありがたい」と目を細める。

 プロジェクトは世代間交流、国際交流に踊りを活用。粉河保育園で一緒に練習した古賀日葵(ひまり)ちゃん(6)と谷地怜皇(れお)くん(6)は「少し難しかったけどちゃんとできた。お兄ちゃんとまた踊りたい」。粉河高を訪れた中国人学生にも体験してもらい、劉文澤(リュウ・ブンツォ)さん(15)は「日本の高校生と一緒に踊れて楽しかった」と喜んでいた。

 楠さんは「踊りは世代、地域を問わず、みんながつながることができる。パソコンやスマートフォンで連絡を取り合う現代、人間関係を再構築するツールとして広がってほしい」。作詞した保田さんの妻、美佐子さん(80)は「主人は『できるだけ粉河の地名を入れた』と話していました。粉河への愛情が詰まったこの曲が次の世代に受け継がれ、地元愛を深めてもらえると夫もきっと喜びます」と話している。

 24日は元粉河中の芝生広場にやぐらを組んで盆踊りを楽しむほか、同高生徒による軽音楽の演奏やイケメン・イケジョ浴衣コレクションなどを実施。輪投げや菓子釣りのコーナーも。同高(0736・73・3411)。

写真=増田さん(右)に踊りを教わる粉河高校生

(ニュース和歌山/2019年7月27日更新)