旧石泉閣に「和歌浦芸術区」

 和歌浦湾を一望できる元高級料亭、石泉閣をリノベーションしたアートの発信施設「和歌浦芸術区」が昨年末にオープンした。新型コロナウイルスの影響で営業を自粛していたが、6月12日に再開。支配人の廣瀬茂之さんは「多種多様なジャンルの若いアーティストが集まる、芸術の新たな起点にしたい」と描く。

 大阪出身の廣瀬さんは、豊かな自然や歴史に魅力を感じた和歌浦地区で2000年、私設の「アルタミラ美術館」を開いた。途中、休館した時期があったが、インドネシアのバリ島や地元の作家の絵を13年まで紹介してきた。また、和歌浦を舞台にした映画を中心に、5作品を撮影した。

 そんな廣瀬さんが心に持ち続けてきたのが、「新和歌浦を芸術の拠点に」との思いだ。「バリ島にある芸術村ウブドには、アマチュアの芸術家が演劇や歌、ダンスなどを観光客に見てもらうことで、プロを育てる仕組みがある。和歌浦はウブドのような存在になれる可能性がある」

 使われていなかった石泉閣を借り、自身の手で5年かけて改装した和歌浦芸術区。バリ島の画家によるオリジナル絵画をはじめ、レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」ほか有名な絵画を中国人画家が模写した作品が並ぶ。宴会場だった部屋は、約60人がゆったり座れる多目的ホールに。手作り作品コーナーやカフェもある。入館無料。午前10時~午後6時。火曜休み。

 6月19日㊎~22日㊊には廣瀬さんらが和歌浦で撮影した映画3本を上映。各日午後6時から『南から来た少年』、8時から『徐福の遺言』、10時から『青春の賭け』。無料。各回30人。詳細は同施設(073・447・9170)。

(ニュース和歌山/2020年6月13日更新)