加太からはじまる行場

 和歌山市加太から奈良へ至る山系に経塚や関連する寺社がある「葛城修験」のストーリーが6月19日、文化庁の日本遺産に認定された。山岳信仰、修験道を役行者が開いた地で、加太の有志が認定を後押ししていた。このほか和歌山県内からは高野町、九度山などの「女人高野」も選ばれ、日本遺産全104件中、和歌山は7件となった。

 日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じ、日本の文化や伝統を踏まえたストーリーを認定。関連する文化財などを国内外に発信するために制定された。葛城修験のストーリーのタイトルは「『葛城修験』〜里人とともに守り伝える修験道のはじまりの地」。県が代表となり、和歌山市、橋本市、かつらぎ町など県内5市町と、大阪、奈良14市町村で申請した。一昨年も別のストーリーで申請したが、認定を得られず、再挑戦で実現した。

 和泉山脈から葛城・金剛山系には、役行者が全28品に及ぶ「妙法蓮華経」を一つずつ埋め納めたと伝わる経塚、葛城二十八宿がある。加太友ヶ島の「序品窟」を西端に紀の川市中津川の行者堂、泉佐野市の七宝瀧寺などをへて奈良県王寺町「亀の尾宿」へ至る。現在も修験者は経塚や縁のある神社、滝や巨石で修行し、暮らす人たちと接点を持っている。

 19日に加太の阿字ヶ峰行者堂で関係者が認定を祝った。尾花正啓和歌山市長は「加太では友ヶ島にわたる修験者の姿が風物詩になっており、修験者を迎える文化が息づいている。歴史文化遺産を生かしたまちづくりに取り組む」と話している。

写真=加太・北ノ浜の採燈大護摩供

(ニュース和歌山/2020年6月27日更新)