11月21日 遺跡展示施設オープン

 中世根来寺の姿を伝える「根来寺遺跡展示施設」が11月21日㊏、岩出市根来の旧和歌山県議会議事堂横に全面オープンする。一部公開していた半地下式倉庫に加え、全国で初めて特殊なセメントを用い、階段の遺構を再現。県文化遺産課は「かつての姿と文化財公開の最前線に触れてほしい」と話している。

 根来寺は平安時代末に覚鑁(かくばん)上人が高野山で開創し、その後、現在地に移った。世界地図にその名が示されるほど繁栄したが、1585年に豊臣秀吉の紀州攻めで大半が焼失。1976年に発掘調査が始まり、遺物が発見され、僧侶が学び暮らした区画「子院」が300余あったのが明らかになった。

 施設は発掘された子院を通じ、当時の暮らしに触れてもらうのが目的で、半地下式倉庫と階段遺構がメーン。実物を公開すると維持管理が困難なため、発掘現場の真上に複製を設置した。半地下倉庫は実物をシリコンで型どりし、繊維強化プラスチックで製作。礎石のほか、紀州攻めに伴う火災の跡が見られる。また、階段遺構は全国で初めてガラス繊維補強セメントを使い、丘陵上の子院へ至る石垣の階段を再現。排水用の溝など暮らしの細部が分かる。

 同課の田中元浩さんは「質感などリアルに再現できた。まずはここで中世の根来を感じて、周辺を散策して」と呼びかける。午前9時〜午後5時。無料。同課(073・488・6504)。

写真=再現された階段の遺構

 

考古学&絵画ワークショップ

 12月6日㊐午後2時。小中学生対象で小学生は保護者同伴。現代芸術家と考古学の専門家の指導で、発掘された壺や皿を絵に描く。無料。20人。希望者は11月27日までに氏名、連絡先、人数を同課(FAX同488・6180、メールe5007001@pref.wakayama.lg.jp)。

(ニュース和歌山/2020年11月14日更新)