20150131basu

 年明け早々、運営会社が活動停止を発表し、一時はチーム存続が危ぶまれたNBL(ナショナルバスケットボールリーグ)の和歌山トライアンズ。熱心なファンや企業などからの寄付で資金面の目途が立ち、県バスケットボール協会が主体となって運営することで今シーズンの存続は決まった。1月31日(土)と2月1日(日)には新生トライアンズとして初めてのホーム戦を和歌山市梅原のノーリツアリーナで迎える。チーム最年長で、唯一の県出身者、寺下太基選手(34)にこの1ヵ月間の思い、そしてホームゲームへの意気込みを聞いた。(文中敬称略)

唯一の県出身 寺下太基選手  「勇気与えるプレーを」

 1月7日、チームを運営する和歌山バスケットボール株式会社がNBLに退会届を提出。活動停止となる中、寺下選手は1月10日に和歌山市で子ども向けの教室を企画した。

──なぜ開こうと。

寺下 1月8日頃、存続の可能性がまだあると聞きました。存続すれば1月21日にリーグ戦があるものの、練習場所がなく、ボールにも全く触っていなかった。あるチームが借りていた体育館をご厚意で貸してもらえることになり、ツイッター(インターネット上の簡易投稿サイト)で「大人も子どももみんなでバスケ楽しみましょ」と呼びかけたところ、約160人が来てくれました。集まっても20〜30人かなと思っていたので驚いたし、うれしかったですね。

 1月14日、今シーズンのチーム存続をNBLが発表。5月までの運営資金5000万円に見通しが立ち、選手も確保できた。

──吉報が届きました。

寺下 チームの今後のことや、自分自身、現役引退するか、移籍するか…などでひどい頭痛が続いていました。存続を聞いた時、うれしさはもちろんありましたが、ずっと張り詰めていた分、疲れがどっと出ましたね。

 新チームは1月21日、24日、25日に愛知と茨城で試合を行った。新加入選手と連携を深める時間がない中、善戦するも勝利はならず。新生トライアンズの初白星はきょうからのホーム戦に持ち越された。

──1月31日(土)と2月1日(日)のホーム2試合は今後のトライアンズにとって大きな意味を持つと思います。

寺下 存続できたのはブースター(ファン)や県民の皆さん、企業、全国の方々からの寄付、支援のおかげです。ただ、戦力的にも厳しい状況で、これからタフな試合が続きます。そんな中でも最後まであきらめず、強敵にくらいつき、皆さんに勇気を与えられるプレーを見ていただきたい。

──来期以降の存続には共に戦うブースターの存在が欠かせません。

寺下 ホーム戦の後、ブースターとハイタッチするのが恒例。皆さん、タッチする時は笑顔なんですが、昨年の最後の試合、タッチする瞬間に僕の手をぎゅっと握り、「将来、トライアンズでプレーするので、顔を覚えていてください」と真剣な表情で話してきた小学校高学年ぐらいの男の子がいました。僕が和歌山に戻ってきたのには、地元の子どもたちの目標になりたいとの思いもありました。子どもたちのあこがれの場所をなくさないためにも頑張らないととの思いでいっぱいです。

◇1月、2月のホームゲーム◇

1月31日㊏18:30 vs アイシン三河
2月1日㊐14:30 vs アイシン三河   
7日㊏18:30 vs リンク栃木   
8日㊐14:30 vs リンク栃木   
21日㊏18:30 vs 東芝神奈川   
22日㊐14:30 vs 東芝神奈川

会場は全試合、和歌山市梅原のノーリツ鋼機内ノーリツアリーナ。チケットは前売りが2000円〜、当日が2600円〜。NBLオンラインチケットとチケットぴあで取り扱い。なお、応援団「和歌山トライアンズをこよなく愛する会」はチーム支援募金への協力を呼びかけている。詳細は「プロバスケットボール運営委員会」フェイスブックかツイッターで。

寺下太基(てらした・だいき)…1980年、和歌山市生まれ。安原小学校、東中学校、和歌山工業高校、大阪産業大学を経て、日本リーグの松下電器へ。その後、bjリーグの新潟アルビレックスBB、埼玉ブロンコス、滋賀レイクスターズでプレーし、昨年、和歌山トライアンズ入団。

(ニュース和歌山2015年1月31日号掲載)