和歌山県内で活躍する起業家が国内外で高く評価されている。一昨年に合同会社「和―なごみ」を立ち上げた和歌山大学観光学部1年の小幡和輝さんは、1月にフィリピンで開かれた学生起業家が集まる発表会のアジア大会で入賞し、4月に世界大会へ。地域食材を使った加工品の企画・販売を行うスターフードジャパン(和歌山市)の新古祐子代表(写真下)は、女性起業家を応援するビジネスプラン発表会で最優秀となる近畿経済産業局賞に選ばれた。

小幡和輝さん 学生と社会結ぶ架け橋に

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 小中学生時代に不登校を経験した小幡さん。1人の友人との出会いをきっかけに、「自分を変えたい」と強く思うようになり、耐久高校定時制時代に起業し、若者が活躍できるイベントを開き、昨年は元ライブドア社長の堀江貴文さんを招いての講演会を実現させた。

 発表会は、若手起業家の世界ネットワーク、EO(起業家機構)の主催で、事業の意義やビジョンについて披露。世界46ヵ国、約2000人の学生起業家が出場し、小幡さんは昨年11月の国内大会で上位3人に選ばれ、韓国やマレーシアなど8ヵ国から約20人が参加するアジア大会に挑んだ。

 「売り上げが億を超える学生起業家が集まり、緊張しました」と小幡さん。大会では、交通事故で家族を亡くしたのをきっかけにヘルメットの販売会社を立ち上げた学生や、音声を点字に変えるリストバンドを開発した学生が、流ちょうな英語で発表した。そんな中、小幡さんは学校の枠を超えた学生によるイベントの開催や商品・サービスの販売促進活動などの事業を説明し、「若者が視野を広げるため、様々な場面で活躍する同世代や社会人との出会いが大切」と強調。「若者と企業や学生間の架け橋になる事業を国内外に展開したい」と展望を語った。

 英語に自信がなく、きちんと思いが伝わったか不安だったが、審査員からは経験に即した理念が評価され、世界大会へ出場する8人に選ばれた。「都会に比べ学生起業家が少ない和歌山だから自分が評価されていたと感じていましたが、海外で認められ自信になりました」とにっこり。「世界大会にはビジョンをより明確にして挑みたい」と準備を進めている。

写真=アジア大会での小幡さん(前列右から4人目)

 「LINE」社長招き講演会

 小幡さんは無料通話アプリ「LINE」の森川亮社長を招いての講演会を4月5日(日)午後7時、JR和歌山駅前のJAビル2階で開く。3000円、中高大学生無料。希望者は小幡さん(info@nagomisya.info)。

新古祐子さん 地域食材 加工販売で発信

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 一方、新古さんが出場した女性起業家が夢や思いを語るビジネスプラン発表会は1月、大阪で開かれた。近畿経済産業局が今年度から始めた「女性起業家応援プロジェクト」の一環で、融資や関係機関紹介などで女性起業家を支援し、地域活性化につなげるのが目的。応募62人中、予選を通過した10人がそれぞれのビジネスプランを語った。

 新古さんは嫁ぎ先の湯浅醤油(しょうゆ)で営業職を経験後、2010年にスターフードジャパンを設立。食品メーカーや小売店の依頼を受け、その土地の食材を使った加工品を開発し、マーケティング、販売までを一貫して行う。これまで300社の商品企画に携わり、県内では1ヵ月で3000個を売り上げた梅酒入りのパウンドケーキなどを生み出した。

 当日は4年間の実績とビジネスプランを発表。地元食材の魅力を最大限に引き出すことで地域貢献につなげる取り組みが評価され、最優秀に選ばれた。新古さんは「『日本で食品加工、商品企画と言えば新古祐子』と言われるぐらいに成長したい。今後は同じような仕事に励んでくれる女性の人材育成にも取り組んでいければ」と描いている。

 若者や女性の起業家が評価されたことに県企業振興課は「進取の気性があると言われる県民性が生きた。枠にとらわれない若者の感性や、男性とは違った目線のアイデアなど、それぞれのセンスが光り、今後も期待できる。起業を考えている若者や女性に刺激になる」と話している。

(ニュース和歌山2015年2月28日号掲載)