釣ったなまずを抱えるカッパ、口紅を塗る女の子、手紙に目をやるサンタクロース…。今にも動き出し、語りかけてきそうな布人形を制作するのは、創作人形工房ロックンドールを主宰する和歌山市中之島の吉川直樹さん(56)。3月17日(火)~3月23日(月)に和歌山市本町のフォルテワジマ2階で26年ぶりとなる個展を開き、自信作を披露する。
歯科技工士の吉川さんは1985年に趣味で作品づくりを開始。当初、材料は紙粘土だったが、91年からは布を使う。途中、15年近い休止期間を経て、2010年に再開。13年には大手手芸店ドリーム主催の「メイド・イン・わたしコンテスト」にカッパをテーマにした作品(写真左上 携帯などは上)で挑み、応募6000点の中から銅賞に輝いた。
昨年夏、プロの造形作家らに作品を見てもらう機会に恵まれた。完成度の高さが評価され、「たくさんの人に見てもらっては」と勧められたことから、久々に2度目となる個展を開くことにした。
出品するのは約30点。折り鶴を手にする女の子、楽しそうにウクレレを奏でる男性はじめ、何かをしている瞬間を作品にしている。「私自身は設定を考えながら作っていますが、『お化粧しているこのお姉さんはお出かけかな?』『このカッパはなまずを持ってこれからどうするんだろう?』など、見てもらった方がそれぞれ自由にドラマを考えながら楽しんでもらいたい」と吉川さん。
なまずやウクレレ、野球用のグローブと人形が手にする小物も全て手作りで、服もミシンで縫う。表情にもこだわっており、鏡を見て、顔の筋肉の動きを細かくチェックしながら作る。「そのせいか、『カッパは作者に似てる』と言われますね(笑)。リアルすぎると怖いので、ほほえんでもらえるような温かい感じの表情を心掛けています」
午前11時~午後5時。フォルテワジマ(073・488・1900)。
写真=個展への最後の作業に余念がない吉川さん
(ニュース和歌山3月14日号掲載)
※吉川さんの吉は本来“土+口”ですが、機種依存文字のため吉を使用させて頂きました。