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 馬術、水泳、フェンシング、射撃、そして陸上の5種目を一人でこなす近代五種。この競技で、和歌山北高校出身の三口智也選手(29、自衛隊体育学校)が来年行われるリオデジャネイロ五輪の出場権を獲得した。高校時代までは水泳一筋。五輪出場を夢見て飛び込んだ新しい世界で、念願の切符をつかんだ。来年8月の本番に向け、三口選手は「メンタル面の強化を図り、上位に食い込みたい」と前を見据えている。

 歓喜の瞬間は6月2日、北京で迎えた。リオ五輪予選も兼ねたアジア・オセアニア選手権。アジア勢上位5人に与えられる出場権を目指した。

 出場30選手中、フェンシング、水泳、馬術はいずれも6位と安定して上位をキープ。最終種目、射撃と陸上を同時に行うコンバインドは3位でスタートした。射撃の調子が上がらず、徐々に順位を落としたものの、韓国勢4人、中国勢3人に次ぐ8位でゴール。出場権は1ヵ国2人までとのルールがあり、繰り上がりで切符を手にした。「ゴール後、駆け寄ってきた監督に聞き、枠を取れたんだと分かりました。みんなの期待を背負いながらでしたので、とにかくホッとしました」

 水泳を始めたのは3歳の時。北高2年のインターハイ会場で、自衛隊体育学校のスカウトから「近代五種で五輪を目指さないか」と誘われた。「もう1年間、水泳を頑張り、結果を見て決めよう」。3年のインターハイと国体、いずれも決勝に進める8人に残れず、近代五種への挑戦を決断した。

 水泳以外の4種目は初めての経験だったが、入隊2年目の2006年、早くも世界ジュニア選手権とアジア選手権へ出場。10年には全日本選手権を制した。

 そして念願の五輪出場を決めた。「彼の運動能力なら、いずれは手にすると思っていました」と話すのは、北高水泳部の坂上裕昭監督。「水泳には他の競技は苦手という選手が多い中、彼は何をしても器用だった。走るのは当時はそこそこでしたが、ストライドが大きく、やれば伸びると感じていました」

 坂上監督の印象に深く残るのは、北高での最後の半年間、練習にのぞむ気迫だ。「自衛隊入隊を決めてからは鬼気迫る雰囲気だった」と振り返る。国体から半年、高校3年3月のジュニアオリンピック水泳400㍍自由形で決勝に残り、自己記録を一気に8秒縮めた。「あのころのように、自衛隊に入ってからも覚悟を決め、五輪を目標に取り組んできたんだと思います。リオでは日本人として過去最高の成績を残し、歴史を塗り替えてほしい。できることならメダルを」とエールを贈る。

 日本男子勢は、バルセロナ五輪以来、4大会ぶりの出場となった08年の北京五輪で村上佳宏選手が31位、12年のロンドン五輪は富井慎一選手が22位だった。三口選手は「この22位が最低ライン。本番まで5種目全体の強化を図り、メダルをねらいつつ、上位を目指します」。夢の舞台へ、決意を新たにする。

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三口智也(みぐち・ともや)…1986年、紀の川市生まれ。全日本選手権は2010年に優勝、12年と14年が2位。10年にハンガリー、イギリスで開かれたワールドカップで決勝進出、昨年のアジア競技大会で日本の団体2位入賞に貢献するなど国際大会でも活躍。5種目の中では水泳を得意とするが、「最近はフェンシングが安定してきました」。180㌢、66㌔。写真は昨年の全日本選手権より(写真提供=自衛隊体育学校)

(ニュース和歌山2015年6月20日号掲載)