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 紀の川市で整骨院を営みながらあこがれのカーレースの世界を支える男性がいる。南出耕作さん(30)。レーサーになる夢は果たせなかったが、柔道整復師となり、選手たちのコンディションを保っている。8月30日(日)から耐久レース「スーパーGT鈴鹿1000㌔」へ参加し、元レーサーの中嶋悟さんの次男、大祐選手らをサポートする予定で、「トレーナーの経験を普段の仕事に生かしたい」と目を輝かせる。

 11歳であこがれの中嶋悟さんが校長を務める鈴鹿サーキットレーシングスクールに入校し、カートの腕を磨いた。

 卒業後も夢を追い、中高時代は奈良のチーム「トレンタ・クワトロ」に所属。16歳でカートレースの全日本選手権や国際レースのアジアパシフィックに参戦し、アジアでは6位に入賞した。小林可夢偉選手らとともに、未成年ながら普通自動車免許の必要な四輪レースに出場できる「限定A級ライセンス」を取得、プロになることを心に誓った。その後、フォーミュラカーのオーディションスクールやレースに挑戦したが、結果は出せず、レーサーへの夢はあきらめざるを得なかった。

 「なんとか夢の世界にかかわりたい」。19歳から柔道整復師の専門学校に3年通い、トレーナーの道を模索し始めた。卒業後、中嶋さんの長男で、スクールで一緒に学んだ一貴選手にサポートを求められ、ヨーロッパへ。「ウィリアムズ・トヨタ」の一員としてF1レースに出場していた一貴選手を1年半、支えた。

 帰国後の2010年、紀の川市貴志川町に「Will整骨院」を開業した。来院者への施術に励む一方、昨年は「スーパーGT鈴鹿1000㌔」で一貴選手らのチームをサポート。優勝の一翼を担った。

 今年も「中嶋レーシング」から招かれ、次男の大祐選手のトレーナーを務める。2人のドライバーが交互に走り、交替するわずかな時間の中でコンディションを確認し、マッサージやテーピングを行うのが仕事だ。南出さんは「うれしいですね。自分の好きな世界にかかわり、整骨院としても個性にできる。腰や首を痛めたドライバーをみているので、交通事故に遭った方への対応に生かします」と話している。

写真=トレーナーとして選手を支える南出さん(中央)

(ニュース和歌山2015年8月15日号掲載)