和歌山大学を休学し、東アフリカにあるウガンダで半年間、野球を指導した教育学部4年の土井拓哉さんが、ウガンダ人青年2人を日本に招き大学野球部の練習に参加させようと、渡航費の募金活動に奮闘している。土井さんは「規律を重んじる日本の野球を肌で感じ取り、ウガンダで野球を発展させる人材を育てたい」と意気込む。
土井さんは阪南市出身で、小中高と白球を追い、大学でも昨年まで硬式野球部に所属。将来は高校の野球部監督と地理の教員を目指す中、「自分の目で世界を見るなら今しかない」との思いが募った。昨年、1年間休学し、発展途上国でのボランティア活動を決めた。
昨年4月からカンボジア、ベトナム、インドネシアを回り、帰国後に出合ったのが国際協力機構の野球指導員募集。9月から今年3月までウガンダに渡り、首都カンパラの北にあるガヤザへ向かった。国内唯一の球場で、長期ボランティアとして指導に当たる長谷一宏さんとともに、小学生〜20歳の男女を毎日教えた。
同国では約10年前から日本の支援を受け、道具の提供や指導が行われている。国内に約20チームあるが、遠征費が捻出できないため、球場までの交通の便がよく、活動が活発な7チームだけでリーグ戦を行っている。
食事が1日1食だけの子、裸足でグラウンドに立つ子と、貧しさを目の当たりにしながら、必死に汗を流す姿に胸を打たれた。「独立リーグの兵庫ブルーサンダースにはこれまでウガンダ人選手2人が入団しており、あこがれている熱心な子が集まっていました。ただ、時間を守らない、道具を大切にしないといった面が気になりました」と土井さん。
そこで、将来、選手や指導者として活躍が期待できる青年2人を日本に1~3ヵ月間招き、大学野球部での練習や独立リーグのトライアウトに参加させるプロジェクトを長谷さんと企画し、6月にインターネットの寄付金募集サイトで、渡航費を募り始めた。
来日予定の一人、カトー・エリック選手はガヤザチームの主将で19歳。「もし日本に行けたら日記をつけ、課題と向き合いたい。厳しい練習についていけるか不安だが、レベルの高い環境でチャレンジできることにわくわくする」と張り切る。
和大硬式野球部の大原弘監督は「ウガンダは少し前まで内戦していた国で、野球はこれから開拓していくところ。そんな根っこの部分に携われるのは、学生にとって意味がある」と歓迎する。
7月中はネット上での資金集めに加え、ぶらくり丁のイベントでチラシを配ったり、県内の高校の野球部を訪ね、協力を呼びかけたりと駆け回った。7月25日現在、目標額の90万円に対し半額近くが集まったが、8月17日までに目標額に達しないと不成立になる。
土井さんは「道具やリーグ運営も含め、将来、支援がなくても自立して野球ができる環境をウガンダにつくりたい。今回はその第一歩になる」と協力を呼びかける。寄付についてはクラウドファンディングサイト「レディーフォー」https://readyfor.jp/projects/Africa_baseball)、土井さんにメール(md.takuya0321@gmail.com)。
写真=ウガンダで野球を指導する土井さん(中央)
(2016年7月30日号掲載)