12月16日から個展

 

 和歌浦の商店街や天神山の山道、雑賀崎の路地…。地元の何気ない景色を描き続ける和歌山市の洋画家、堤慶さん(60)が油絵を始めて50年を記念し、12月16日(金)~18日(日)に同市和歌浦中のアートスペースツツミで個展を開く。「地元のありのままをキャンバスに残してきました。当たり前のように見ている和歌山の景色の美しさを感じてもらえれば」と語る。

堤慶半世紀 和歌浦で生まれ育った堤さんが油絵に出合ったのは5、6歳のころ。行きつけの理髪店に飾られていた西洋の風景画だった。「まるで自分がその景色の中にいるかのよう」に描かれた作品に衝撃を受け、画家になるのを決意。小学4年の時、父親に油彩画の道具を買ってもらい、地元の景色を絵にし始めた。

 1980年に武蔵野美術大学油絵学科を卒業。和歌山の高校で34年間美術教諭を務めながら和歌山を描き続け、昨年早期退職した。小学生のころから現場での創作にこだわり、現在も毎日のように30号のキャンバスを抱え、自転車で和歌浦を中心に、和歌山城や秋葉山、雑賀崎と駆け巡る。これまで描いた和歌浦の絵は1000枚に上る。

 個展では、新和歌浦にあった旅館、八光苑を自身が1998年に描いた絵を模写した作品や和歌浦の裏通り、紅葉で色づく和歌山城など50点を並べる。

 子どものころからの憧れは印象派のフランス人画家、セザンヌ。堤さんは「和歌浦にそっくりな南仏の景色を描くセザンヌに追いつくのが目標。これまでは和歌山のありのままを残すことにこだわってきました。今後は個性を出した大胆な作風に挑戦し、自分のスタイルを確立させていきたい」と意気込んでいる。

 午前10時~午後5時。堤さん(073・445・8864)。

(2016年12月10日号掲載)