電気走行、ペダル走行、ハイブリッド走行(電気+ペダル)と1台で3つの使い方ができる次世代型の乗り物「グラフィット」を和歌山市出島のグラフィットが開発。7月20日にはインターネットで出資者を募るクラウドファンディングで国内最高額となる1億717万円を記録し、話題になっている。鳴海禎造社長(36)は「浸透すれば、社会にインパクトを与えられる。和歌山を拠点に100年続く企業を目指します」と話している。

 一見、折り畳み自転車だが、車体を支えるフレーム内に電池を備え、3つの用途で使い分けられる。家庭用コンセントで4〜5時間充電すれば、バイクで最高時速30㌔、距離は約40㌔走れる。「和歌山は交通機関が少なくバイクの人が多い。お酒を飲んだ後も折り畳んでタクシーに乗せられます」。同種の乗り物は国内でもみられるが、ペダルがなかったり、車体が重かったり。グラフィットは18㌔と軽量かつ折り畳めて自転車として使え、指紋認証で解除できる鍵を設けるなど使いやすさにこだわった。

 市場調査のため、クラウドファンディングを活用。5月30日に開発費の一部として300万円の出資を募集したところ、約3時間で達成した。3日で5000万円、7月14日には1億円、予約は約800台に達した。

 雑賀小学校、西浜中学校、開智高校を経て関西外国語大学へ進学した鳴海社長。学生時代からニュース和歌山の皆さんコーナー譲ります欄を利用し、「自分には不要でも相手には欲しいものがある。ニーズに合わせたものづくりの原点になりました」。20代で自動車販売と修理店を立ち上げ、中国に自動車部品の生産工場を開設。現地へ足を運んだ際、目に留まったのが電気で走る自転車だった。「海外では普及していて、時速30㌔近く出るロードバイクと同じ感覚。日本は法の壁で原付扱いですが、利便性が上回ると思いました」

 グラフィットは現在、中国の子会社で作っており、「月1000台売れれば和歌山に工場を設けたい。国内の技術者を集めた研究所も立ち上げ、和歌山で新しい産業を生み出す」と意気込む。

 出資は8月30日まで募集。9月以降順次、商品を届ける。1台15万円で原付バイク扱いのため、運転免許証やナンバープレートの取得、ヘルメットの着用、自賠責保険への加入が必要。同社(050・3852・2622)。

写真=ヘルメットを持つ鳴海社長(中央)と開発メンバー

(ニュース和歌山/2017年7月26日更新)