夜間に車で走る際、ヘッドライトをロービームにしたままの人が多い中、昨年、車両が人をはねた死亡事故ではハイビームでの走行中はほとんどなかったことから、警察庁は死亡事故減に向け、「ハイでの走行」を提唱し始めた。県警も安全運転管理者講習会でハイビーム走行の効果を盛り込み、広報を強化する。

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2016111903_beam1 道路交通法は、夜間はハイビームやテールランプをつけ、対向車がある時や他の車のすぐ後ろを走る時はローに切り替えるよう規定する。

 しかし、昨年の全国夜間死亡事故625件のうち、ローが597件、無灯が13件、補助灯が6件で、ハイは9件。ハイなら100㍍先まで照らせるが、ローは40㍍先までのため、警察庁は「ハイにしていれば防げた事故もある」と9月の交通安全運動期間にハイビーム使用を訴え始めた。

 警察庁の取り組みに、県警は「現状はローが標準と考える人が多い」と認識を示し、日本自動車連盟(JAF)和歌山支部は「時速60㌔だと発見から停止まで40㍍以上かかり、ローのままなら事故を起こす可能性が高くなる」と指摘する。

 夜間の交通事故防止へ、JAFは夜に見にくくなる状態を自覚してもらおうと、10年前からイベントなどで夜間視力検査を実施。県警も歩行時や自転車に乗る際に反射材をつけるよう呼びかけを続ける。

 最近は、対向車を感知し自動でハイ、ローを切り替える車もあるが、まだ普及していない。県警は「状況に応じて小まめに切り替えを」と呼びかけている。

 写真=夜、約80㍍先にいる自転車での通行者。ロービーム(左)だとほとんど見えないが、ハイビーム(右)なら確認できる

(ニュース和歌山2016年11月19日号掲載)