味に問題はないものの、形が悪かったり、傷が入ったりし、市場に出せずに処分せざるをえないため、農家を悩ませている廃棄フルーツ。果物王国・和歌山でこの問題を解決すべく、飲み物や菓子に生まれ変わらせる取り組みが誕生している。

地元の農家 サワーで紹介 和歌山市 前田恭兵さん

 和歌山市新通のゲストハウスRICO1階にあるバー。20、30代が中心の客たちは、丸ごとのいちごや輪切りにしたみかんなど、果物たっぷりのサワーが入ったグラスを傾ける。使っているのは全て廃棄フルーツだ。

 店を営むのは同市の前田恭兵さん(25)。以前、海南市下津町のみかん農園で収穫のアルバイトをしていた時、廃棄される果物の多さに驚いた。「以前から興味があったサワーと、処分するしかないフルーツを掛け合わせると、農家さんの力になれるのでは?」。今年に入ってから日曜~火曜の週3回、バースペースを間借りしてサワースタンドを開いている。

 仕入れ先は知り合いに紹介してもらった農家。紀の川市のレモンや海南市のみかん、印南町のいちごと、すべて県産のものを使用する。炭酸水やチューハイに絞りたての果汁を混ぜ、果肉をたっぷり入れる。農家と客をつなげたいと、商品を提供する際にはどこの農園で獲れたものか必ず伝える。「ゆくゆくは農家の方をお店に呼んで実際に果物を販売してもらい、それを使って絞りたてのサワーを出すイベントを開きたいですね」と張り切っている。

 

子どもに安心 無添加グミ かつらぎ町 猪原有紀子さん

 かつらぎ町で育児をしながら、ブルーベリーやしいたけを栽培する猪原有紀子さん(34)が昨年10月、販売を始めたのは、廃棄フルーツを使った無添加のグミ。「子どもたちはよくお菓子を欲しがりますが、市販のお菓子は添加物が入っているものが多く、食べさせる度に罪悪感があった。同じように感じているお母さんたちの育児ストレスを軽くできれば」と目を輝かせる。

 2018年に大阪市から移住し、現在、3人の子どもを育てている。育休後は、元々勤めていた会社へ復職する予定だったが、近所の農家が柿を大量に廃棄しているのを知り、「これを使って体にやさしいお菓子ができないか」と一念発起し起業した。

 材料は季節によって異なり、柿やいちご、キウイ、ブルーベリー、なし、びわなどを使う。協力してくれる農家を県内で探し、廃棄フルーツを安く購入。製造は和歌山市の障害者福祉施設に依頼する。「果物の廃棄、障害者就労、そして育児、それぞれの問題に力になりたい」と力を込める。

 猪原さん(050・5307・6709)。

写真=「地域の課題と育児の悩みを一気に解消できれば」と猪原さん

(ニュース和歌山/2021年1月30日更新)