フィリピンの貧困地域で暮らす子どもたちに十分な教育をと、和歌山市西庄の丹隼人(たん・はやと)さん(27、写真)が活動を進めている。現地の特産品ココナッツを取り扱う専門店を昨秋立ち上げて以降、売上から寄付を続けるのに加え、3月6日㊏にはココナッツの殻を利用した商品を返礼品に、クラウドファンディング(CF)を始める。「現地の母親たちは『せめて子どもを高校までは通わせたい』と考えている。その願いを叶えるため、支援を続けたい」と思いは熱い。

ココナッツ店営む丹隼人さん 3月6日からクラウドファンディング

 近畿大学附属和歌山高校時代、サッカー部で全国大会に出場し、主将も務めた丹さん。アメリカ・シアトルの大学を卒業した後はグアムや大阪のホテルなどに勤めた。給料の多くを遊興費に使いながらも、「『このままの人生でいいのか?』との違和感がいつもありました」。

 昨年1月、サラリーマン生活に区切りを付け、翌2月、東南アジアへ。貧困問題を肌で感じるためだ。タイ、ラオス、ベトナムを回り、学校に通えず、働く子どもたちを目の当たりにした。「自分はサッカーに留学と好きなことをさせてもらったが、彼らは家族のために働くのが小さいころから当たり前。やりたいことや夢を選べない…」

 帰国後、現地支援の方策を模索する中、目を付けたのは温暖な東南アジアのあちこちで見かけたココナッツ。準備期間を経て、10月に専門店エースココを立ち上げた。飲食用のほか、髪や肌のケアに使えるココナッツオイルを輸入し販売する。売上は多い月でまだ10万円ほどだが、この中からフィリピンの貧困家庭を支援するNPOへ寄付する。

 スタートしたCFは、ココナッツの殻を材料に、現地の母親たちが作ったトレーやスプーンなどを返礼品とする。これらの品は途上国から適正な価格で輸入するフェアトレードで仕入れる。「製品を買えば貧困地域の収入が上がり、子どもの教育費に充てられる。ココナッツ製品の良さやフィリピンの現状を知ってもらうきっかけにもなれば」と願っている。

 CFは4月14日㊌まで。詳細は「エースココ」HP。ココナッツオイルはフォルテワジマ1階、よってって狐島店などで販売。

(ニュース和歌山/2021年3月6日更新)