紀州語り部の楠見修三さん ルート考案

 紀州語り部として活動する楠見修三さん(写真右から2人目)が、車いすを使用する人に向けた和歌山城の見学ルートを考案した。「車いすで行ける場所は少ないが、天守に登らなくても十分楽しめると知ってもらえれば」と望んでいる。

 定年を機に語り部を始めた楠見さん。子どもが祖父母と城を楽しめるようにと、城内で見られる木や木の実などをDVDにまとめ、歴史とは違う魅力を発信してきた。

 こうした中、病気で車いす生活になった語り部仲間の清水千枝子さんを外へ連れ出すため、友人らと「車いすで語り部ができるコースを考えるから、出ておいで」と繰り返し声をかけた。

 清水さんの気持ちに少しずつ変化が現れ、昨年12月に岡口門から南堀跡にあるツツジ園、今年1月には一の橋から動物園にかけて案内した。語り部復帰を思い描くようになった清水さんは「家族としか顔を合わせない日々が続く中で、人と会い、景色を見るのが新鮮だった。生活にメリハリが出て、目標ができました」。

 3度目の3月4日は、吹上門跡近くの大鳥居から砂の丸広場の石垣沿いを進み、護国神社まで1時間半かけて散策した。石垣の石を切り出す際についた矢穴を探し、クスノキの落ち葉の匂いをかぐ清水さんに、楠見さんは「『品』という字のように石を積み重ねた石垣が一番強い」「クスノキは虫よけに使うしょう脳の材料になるほか、世界で初めて開発された人工樹脂、セルロイドの原料でもある」など説明した。

 料金など詳細は和歌山市語り部クラブ(073・422・5831)、または同クラブHP

(ニュース和歌山/2021年3月13日更新)