海南市の工藤夫妻 美化活動10年以上

 福島県を3月25日にスタートした東京五輪の聖火リレー。和歌山県内は4月9日㊎と10日㊏に実施される。初日最後の区間となる船尾交番前からマリーナシティまでの道路で10年以上に渡り、ゴミ拾いを続けているのが、海南市大野中の工藤忠久さん(82)、淳子さん(81)夫妻だ。忠久さんは「掃除していた所がコースになったのは偶然とは言え、うれしかった。きれいな道で聖火をつなぐお役に立てました」と喜ぶ。

 片手にレジ袋、もう片方の手にはビニール手袋。空き缶やペットボトル、吸いがらを拾いながら歩く。淳子さんは「新型コロナウイルスが流行して以降はマスクとウエットティッシュが多いですね」。忠久さんは「でも、10年ほど前に比べると、ゴミはだいぶ減りました」と笑う。

 ゴミ拾いの原点は、 JICAのシニア海外ボランティアとして2005年からの3年間を過ごしたカリブ海の国、ドミニカ共和国。散歩の際、公園やその周辺の道路にあふれるゴミを目にし、毎日夕方、2人で掃除を続けた。その活動は現地の新聞で紹介され、名誉市民表彰も受けた。

 08年に帰国。まもなく健康維持のため、ウォーキングを始めた。自宅から5㌔ほど離れたマリーナシティまで約1時間。このうち、後半の30分ほどはゴミを拾い集めながら歩く。夏場は歩道の草むしりも。雨の日や用事のある日を除き、ほぼ毎日欠かさない。

 いつも通り、歩いていた今年3月上旬、聖火リレーで道路が通行止めになることを伝える看板が目に飛び込んできた。忠久さんは「海南市でもリレーが行われると聞いていましたが、まさかゴミを拾っている所がちょうどコースだったとは」と驚きを隠さない。「妻と2人での散歩とゴミ拾いが健康の秘けつ。元気でいられること、そして人様に貢献できるのはうれしいことです」

 美化活動は今後も楽しく継続するつもりだ。

写真=燃えるゴミ、缶、ペットボトルなどに分けて集める

 

ニュース和歌山配布地域の聖火コース

 新型コロナウイルス感染拡大が懸念される中、和歌山県スポーツ課は「インターネットのライブ中継で走る様子を応援してほしい。もし沿道で観覧する場合は密集する場所を避け、マスク着用を徹底し、声を出さず拍手で」と呼びかける。交通規制など詳細は県HP

(ニュース和歌山/2021年4月3日更新)