資料集や徳川頼貞の自伝

 南葵音楽文庫に関連する書籍3冊が3月25日、中央公論社から発行された。紀州徳川家16代当主の徳川頼貞が集めた西洋音楽の資料「南葵音楽文庫」を、読売日本交響楽団から県が寄託を受け、保管や調査してきた成果をまとめた。

 『紀州徳川400年 南葵音楽文庫案内』(A4判、96㌻、3300円)は、紀州徳川家や南葵音楽文庫の歩みや、ベートーヴェンの自筆書簡やバッハの初版楽譜など貴重な資料の数々を図版とともに解説。南方熊楠らの関連する文章も収めた。『薈庭楽話(わいていがくわ)』(四六判、384㌻、3300円)は、頼貞が名だたる大音楽家との交流や秘話をつづった自叙伝で、戦時中の出版統制で内容が改変される前の幻の私家版を復刻させた。『徳川頼貞侯の横顔』(四六判、204㌻、2200円)は、頼貞の側にいた文学者の喜多村進の肉筆原稿を今回初めてまとめた。喜多村が見た頼貞の人柄や足跡が描かれている。

 和歌山県は一般販売に加え、県内の全中学高校へ配布する。県立図書館は「県に資料が寄託されたからこそここまで深く発信できたと思ってもらえたら」と話している。

 同館(073・436・9500)。

(ニュース和歌山/2021年4月17日更新)