知ろう会 10周年記念し発行

 発足10周年を迎えた市民グループ「井澤弥惣兵衛さんを知ろう会」は絵本『弥惣兵衛さんと紀州流~徳川吉宗を〝米将軍〟にした男』を5月1日に発行した。弥惣兵衛の子孫で、同会会長を務める井澤佳代さんは「大人も子どもも楽しめる、読みやすい絵本になりました」と笑顔を見せる。

 江戸時代に活躍した弥惣兵衛は海南市野上新出身。農民から紀州藩の藩士となり、紀の川流域で新田開発や用水路の整備を行った。曲がりくねっていたため、度々洪水が起きていた亀の川の流れをまっすぐに改修し、上流に水を貯めておく亀池を造った。60歳の時、その活躍が8代将軍、徳川吉宗に認められ、江戸へ。関東平野はじめ、全国で米の増産に尽力した。

 元教員らが立ち上げた同会は、弥惣兵衛ゆかりの地を実際に歩き、その偉業について学んできた。1年かけて製作した今回の絵本では、紀州編、関東編に分け、業績をまとめた。一方で、生まれて間もない三男を弟に託して江戸に行ったことや、江戸で初めての女の子が生まれた直後、妻が亡くなったことにも触れた。文と絵図を担当した同会の西川静代さんは「働き者で実直、権力をふりかざすようなこともしなかった弥惣兵衛さん。仕事一筋な方の家庭人としての一面を、少しでも描こうとこだわりました」。

 B5判、44㌻。770円。宮脇書店ロイネット店、海南市の福岡書店、ブックス青天堂ほかで販売。山添さん(073・482・4186)。

写真=「和歌山県発の作品を次の時代へつなげたい」と井澤会長

(ニュース和歌山/2021年6月5日更新)