ノーリツプレシジョン新商品

 牛が分べんする直前の兆候をとらえてスマートフォンに知らせる画像認識AIシステム「牛わか」を、和歌山市の写真処理機器メーカー、ノーリツプレシジョンが北里大学獣医学部と開発し、7月から販売する。同社の鳴尾ズビール千夏さんは「非接触型の分べん監視システムは初。畜産農家の効率化はもちろん、牛のストレス軽減になります」と自信満々だ。

 分べん時に子牛が死亡する事故を防ぐため、畜産農家は昼夜を問わず牛を見守らなければならず、負担になっている。タグやチップによる監視技術はあるが、1頭1頭に取り付けるのが重労働で、牛にも負荷がかかる。

 画像解析技術を応用した介護施設での見守りシステムを手がける同社は、他分野への展開を検討。同学部の鍋西久准教授から相談を受け、スマート畜産支援プロジェクトを立ち上げ、2年かけて共同開発した。

牛舎に取り付けたカメラ(赤丸内)が24時間、牛を見守る

 牛わかはサーマルカメラ内蔵の装置で、出産を控えた牛がいる牛舎に取り付け、24時間見守る。立ったり座ったりや、その場でぐるぐる回るなど、分べん前の牛がとる特徴的な動作をAIが検知し、メールで通知する。離れた場所からスマートフォンで牛舎の映像を確認でき、必要な時に駆けつけられる。

 発売を前に農家から多くの問い合わせがあった。鳴尾さんは「導入テストでは1日の見回り時間が1時間減少しており、他の作業に集中できると好評。牛以外へも展開し、スマート畜産分野で貢献したい」と話している。

(ニュース和歌山/2021年6月26日更新)