聴覚障害者への関心と手話を広げようと、半世紀にわたり活動するグループがある。手話サークル「たんぽぽ」だ。居澤光洋代表は「次の50年もろう者とつながり、悩み、喜び、共に歩み続ける仲間でありたい」とほほ笑む。

 現在、和歌山県内に23団体ある手話サークル。このうち、最も歴史の長いたんぽぽは1970年9月10日に誕生した。和歌山のろうあ児施設の保母が聴覚障害のある人から手話を教わったのが始まりで、その後、手作りテキストを使って学習会を開催。手話通訳者の養成に取り組んできた。同会で学んだ人たちが各地でサークルを立ち上げ、新たな通訳者を育て、すそ野を広げた。

 このほか、クリスマス会で手話劇を披露したり、障害者の祭りへ出店したりと、地域の行事へ積極的に参加。聴覚障害者の生活と権利を守る署名も行った。社会の認知が広まり出した1980年代は会員数が100人を超えた。

 現在は会員約40人が週1回、活動する。手話での自己紹介や伝言ゲーム、方言についての講演、防災に関する手話表現を参加者が順番に発表するなど、聴覚障害者との交流を通し、楽しく手話の知識を深め合っている。

 50周年の最終日となる9月9日には、半世紀にわたる活動を50分の会員手作り映像で振り返った(写真)。岩下忠勝さんは昔を懐かしみ、「健聴者が手話をできるようになればコミュニケーションを取れると言われ、教えてきたのが、自分のためにもなった。メンバーの高齢化が進む中、新しい世代の人にこの映像を見てもらうことが大切だと思う」と話していた。

 活動は毎週木曜午後7時、和歌山市木広町のふれ愛センター。入会、見学希望者は直接会場へ。

(ニュース和歌山/2021年9月18日更新)