貴志川に開店 鈴木寿美さん ダウン症の娘 成長できる場に

 障害への理解を広めようと和歌山市の鈴木寿美(かずみ)さんが、貴志川線沿いの民家でカフェを開く準備を進めている。ダウン症の娘が過ごす場所づくりがきっかけで、「様々な人が出会い、交流し、前向きに挑戦できる場所に」と意欲を見せる。

線路に面した南側の窓辺にカウンター席を設け、電車ファンや乗車が難しい障害者が楽しめるようにします」と寿美さん

 娘の綾乃さんは20歳。人見知りでコミュニケーションを取るのが難しい。支援学校卒業後の進路に悩んでいた一昨年9月、寿美さんは海南市の山奥にある物件を土日だけ借り、カフェKUPONO(クーポノ)を開いた。

 来客へのあいさつや水を出すなど、苦手なことに挑戦する綾乃さんの姿を目にし、経験を積む機会を設けることで成長できると確信。貴志川線甘露寺前駅にほど近い民家で、本格的に店を始めることにした。

 店のテーマは「障害者と地域社会をつなぐ」。福祉作業所で働く障害者や支援学校の生徒らは毎日、菓子やパン、コップ、皿などを作っている。しかし、コロナ禍で販売するイベントや場所がなくなり、賃金とやりがいが低下。危機感を覚えた寿美さんは、店内に障害者らが製作した雑貨の販売スペースも設置する。「だれの目にも触れないなら何のために作っているのか。社会と障害者をつなぎ、まずは県内施設の品物を置き、将来は全国の施設と連携したい。また、施設実習体験や雇用を生み出せれば」と話す。

 店の改修費への協力を呼びかけ、4月10日㊐までクラウドファンディングを実施中。返礼品は店内での飲食や発酵ドリンク作り体験、菓子の詰め合わせなどを用意する。詳細は「Kupono キャンプファイヤー」。開店はゴールデンウィーク前を予定。紀の川市貴志川町長原560─21。午前11時~午後5時。㊋㊍休み。詳細はインスタグラム「CAFEKUPONO」。メール(kupono0905@gmail.com)。

(ニュース和歌山/2022年3月26日更新)