和歌山にある古墳の特徴と魅力を、和歌山県立紀伊風土記の丘(和歌山市岩橋)の学芸員が紹介する『わかやま古墳ガイド~行く・見る・楽しむ70スポット』がきょう4月23日㊏、ニュース和歌山から刊行される。1700基以上あるうち、代表的な70スポットを5エリアに分け、分かりやすく伝える和歌山初の古墳ガイドで、アクセス情報も充実させた。同館学芸員は「大阪、奈良と違い、和歌山の古墳は登れ、石室に入れる所が多い。ぜひ親しんでほしい」と望んでいる。

紀伊風土記の丘開館50周年『わかやま古墳ガイド』4月23日発売

 古墳は3~7世紀に築かれた有力者の墓で、国内に約15万基ある。前方後円墳をはじめ、方墳、円墳と、地域、時代によって形や埋葬する石室の構造は異なる。

「県内の古墳を網羅した一般的な本は初めて。いい入門書ができました」と丹野拓学芸員(右から2人目)ら、本を手に笑顔を見せる風土記の丘スタッフ(3月29日撮影)

 和歌山には1700基が存在し、その7割が和歌山市に集中する。特に豪族「紀氏」に関連する岩橋千塚古墳群には約900基が集まり、国の特別史跡に指定されている。さらに各地に地域の個性が反映された古墳が存在する。

 近年は、古墳に親しむ女性や若者が増え、2019年には大阪府の百舌鳥・古市古墳群がユネスコ世界遺産に登録された。紀伊風土記の丘学芸課はより裾野を広げるため、地元の人に和歌山の古墳を知ってもらい、魅力を全国にも発信したいと本紙に提案。昨年9月に連載「わかやま古墳めぐり」を第4土曜号でスタートさせると共に、ガイドブックの製作にとりかかった。

 同館学芸員が執筆を担当した『わかやま古墳ガイド』は、「岩橋千塚古墳群」「和歌山市」「紀北」「紀中」「紀南」と5エリアに分け、特徴的なものを取り上げた。岩橋千塚古墳群からは、翼を広げた鳥形埴輪、2つの顔を持つ両面人物埴輪と国の重要文化財でもあるユニークな埴輪が出土した大日山35号墳、高さが全国2位と荘厳な石室を誇る天王塚といった代表的な大型古墳を網羅。和歌山市内では、全国初となる金の勾玉が出土した車駕之古址古墳、全国でも3例しかない馬の兜(冑、かぶと)が見つかった大谷古墳など、名高い古墳を紹介した。

 紀北では、真田幸村の抜け穴伝説で有名な真田古墳や、〝紀伊の飛鳥〟と形容される紀の川市貴志川町の平池古墳群、丸山古墳など。紀南は、漁業に携わる人を海辺の洞穴に葬った田辺市の磯間岩陰遺跡、本州最南端の前方後円墳がある那智勝浦町の下里古墳ほかで、好奇心がかりたてられる古墳が次々と登場する。学芸員の金沢舞さんは「代表的なところはもとより、研究者にもレアな古墳もまじっているのが魅力」と胸を張る。

 また、各古墳の地図やアクセス方法、おススメ度、難易度を星印で示し、実用的なガイドブックとして充実を図った。萩野谷正宏さんは「実際に歩き、周辺を知り、新たな発見がありました」、蘇理剛志さんは「A5判とコンパクト。カバンに入れて、ぜひ現地を巡ってほしいですね」と語る。

 出版を企画した田中元浩さんは「古墳はその土地の歴史を担い、地域特有のつくり方をしており、町の歴史を感じられる。ぜひ住んでいる場所近くの古墳を訪れて、歴史にふれてもらいたい」と話している。

『わかやま古墳ガイド』

 A5判、144㌻、オールカラー。1760円。取り扱い店は以下の通り。

【和歌山市】宮脇書店ロイネット店、宮脇書店和歌山店、TSUTAYA WAYガーデンパーク和歌山店、WAY書店和歌山高松店、WAY書店TSUTAYAオークワ本社店、蔦屋書店和歌山市民図書館店、イオン和歌山未来屋書店、くまざわ書店和歌山MIO店、帯伊書店、松木書店、太田書店、ブックユー、本屋プラグ、和歌山県立博物館、和歌山市観光土産品センター、和歌山大学消費生活協同組合、紀伊風土記の丘

【海南市】TSUTAYA WAY海南店、福岡書店、ブックス青天堂

【岩出市】WAY書店TSUTAYA岩出店、荒尾成文堂

【橋本市】TSUTAYA WAY橋本店

【紀中・紀南】TSUTAYA WAY有田川店、WAYロマンシティ御坊店、WAY書店TSUTAYA美浜店、WAY書店パビリオンシティ田辺店、WAY書店TSUTAYA田辺東山店、WAY書店串本店、TSUTAYA WAY新宮仲之町店、スーパーセンターWAY南紀店

 このほか、Amazon楽天ニュース和歌山ホームページからも購入可。問い合わせはニュース和歌山(073・433・2051)。

(ニュース和歌山/2022年4月23日更新)