市民から喜びの声

 和歌山城の堀に浮かぶ鳥小屋。4月の風雨で傾き浸水したのを受け、6月2日に新設された。同市和歌山城整備企画課の辻誠さんは「小屋について多くの問い合わせをいただくほど、鳥の休み場所として、また、景観の一つとして市民から親しまれてきた。再び鳥が集まる景色が戻れば」と思いを込める。

堀の中ほどへボートで引く岸さんら

 小屋ができたのは1969年3月31日。姫路城にある鳥小屋と同じものをと設置した。正式名称は「アヒル小屋」。堀で遊覧船を運行する船頭の岸真樹さんは「昔はアヒルやハクチョウといった様々な水鳥が羽を休めていました。今は水鳥の種類が減りましたが、カモやカワウなどはおり、堀を巡る際の見どころとして人気です」と説明する。

 今年4月1日に傾いているのを岸さんが見つけ、同課が修理を検討したが、老朽化が著しく、動かすのは困難と判断。5月に入り、強風で半壊したため、新しく造ることにした。

 当時の設計図を元にしており、土台は2・8㍍四方、屋根部分は3・0㍍四方の正方形で、高さは1・4㍍。人が寝そべっても十分ゆとりのある広さだ。

 6月2日、クレーンで堀へ下ろし、岸さんが船で引っ張り、重りで固定した。設置する様子を眺めていた70代男性は「毎日、城の周りを散歩しています。小屋がなくなり、どうしたのかと思っていたが、お城にやってくる鳥たちが安定してとまれる場所ができてよかった」と喜んでいた。

(ニュース和歌山/2022年6月11日更新)