和歌山市職員と小学校教員 公務員コンビが漫才で発信

 6月は環境月間。国連が定めた持続可能な開発目標、SDGsを楽しく知ってもらいたいと、和歌山市の公務員2人が漫才コンビを組んで活動している。その名も「SDGsBOYs」。ボケ担当の佐々木慶彦さん(41、写真右)と、ツッコミ担当の吉本勇生(ゆい)さん(31)は、「SDGsはいつでもどこでも取り組める。笑いながら自分の行動に気づき、実行に移してもらえるきっかけに」と口をそろえる。

「いつかM-1グランプリに挑戦し、SDGsネタを披露したい」と2人

  大きく目を開いてじーっと相手を見つめ、ポイ捨ての瞬間、「それっていいんですか?」と詰め寄る。さらに「川から海へ流れ出て…」「マイクロプラスチックを魚が食べて…」とたたみかける。その迫力に相手は、「確かに、ポイ捨てはあかんな」と受け止める──。佐々木さんのマシンガントークと、吉本さんの優しいツッコミが特徴だ。

 同市の収集センターに勤務する吉本さんは、3月までごみ収集車で市内を回っていた。未分別や道に散乱するごみを前に、「和歌山からごみをなくしたい。現状を伝え、分別や減量を意識してもらうにはどうすればいいだろう」と悩んでいた。

 一方、佐々木さんは小学校の教員。児童とエコエコクラブをつくり、環境問題について学習し、浜辺の清掃に参加する中、「ただごみを拾うのではなく、もう一つ面白いことがあれば、楽しみながら学べる」と考えた。

 そんな2人が昨年夏、わかやま環境ネットワーク運営の環境保全教育「うみわかまもるプロジェクト」ビーチクリーンで知り合った。ユーモアを交えて伝える方法を話し合い、SDGsをテーマとする漫才コンビを結成した。SDGsは、すべての人が幸せになるため、2030年までの達成を目指し国連が定めた持続可能な開発目標。「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」など17項目ある。

 最初に作ったネタは、14番目の目標「海の豊かさを守ろう」につながる海のごみ問題。吉本さんの思いを加えて佐々木さんが考えた台本を元に、約2ヵ月間、仕事後に猛特訓した。

 11月14日、オンラインで開催された科学と環境がテーマの「おもしろミライまつり」で初披露すると、「やりとりが軽快で、難しいテーマなのに分かりやすい」「無関心にならず、自問自答を繰り返しながら行動や意識を変えたい」と評判は上々。同ネットの佐々木春さんは「SDGsや環境活動に全く興味のなかった人に関心を持ってもらうために、エンターテインメントは有効。だれもが楽しめるお笑いを機に広がれば」と期待する。

 2人は30年までに17本のネタを作る計画で、現在は12番目の目標「つくる責任、つかう責任」をテーマにした食品ロスの新ネタを練習する。9月4日のビーチクリーンで発表予定で、吉本さんは「商品を手前から取るだけでSDGsの取り組みになる。漫才でひも解くことで、身近なものと感じてもらいたい」。佐々木さんは「“一日一SDGs”となるくらい、肩ひじ張らずに生活の一部になってほしい」と願う。

 動画とビーチクリーンの情報は「うみわかまもる」HPから。

(ニュース和歌山/2022年6月11日更新)