朝ドラ効果受け移動販売車に列 7月31日雑賀崎灯台会場に催し

 本土復帰50周年、そして現在放送されているNHK朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」の舞台となり、注目度が上がっている沖縄。7月31日㊐には和歌山市雑賀崎で沖縄の食や芸能に触れられるイベントが予定されている。和歌山で出合える琉球文化を見た。

7月31日の催しでは琉風会のエイサーが会場を盛り上げる

 豚の骨付きあばら肉ソーキがのった沖縄そばにタコライス、シークヮーサージュース…。沖縄グルメを求める客の列が、移動販売車の前にできる。店を営む元日本料理人の谷口昭夫さんは「コロナ禍で旅行に行けない人が、気分だけでもと買いに来てくれる。朝ドラのワンシーンで出てきたメニューを見て、食べたくなったと話されるお客さんもいますね」と笑顔を見せる。

 谷口さんは和歌山市生まれだが、沖縄出身の妻、増代さんの叔母が現地で営んでいた地元家庭料理店の味を学び、昨年11月、キッチンカーゆいむんを始めた。一番人気は、油をほとんど使わずさっぱり食べられる揚げ菓子サーターアンダギーだ。

 一方、今年3月には、沖縄独自の器、やちむんを取り扱う「icoi」が同市田尻にオープンした。「さわり心地はごつごつと、土の感触があり、素ぼくでどこか懐かしさを感じます」と宮本聖美店長。やちむんのファンだった宮本さんが、「職人さんたちのすてきな作品を、現地に行かなくても知るきっかけに」と開いた。それからわずか5ヵ月で、「この作家さんの器が好き」と通うファンもいるほどだ。

 盆時期に先祖の霊を送迎するための伝統舞踊エイサーを和歌山で広めようと、15年前から活動するのは和歌山琉風会。県内各地のイベントで年に5、6回披露する。伊東潔会長は「メンバー約20人のうち、6人が沖縄出身、あるいは沖縄出身者の2世や3世。太鼓の音や掛け声が気持ちを高ぶらせてくれます」とにっこり。

 琉風会は7月31日に雑賀崎灯台周辺で開かれる「たかのすフェスティバル」に出演する。様々な沖縄文化に触れられるイベントで、かりゆし会による三線演奏、オリオンビールやポークたまごのホットサンドなど沖縄グルメのほか、やちむんの販売がある。灯台に隣接するカフェ、オーシャンのオーナーで、イベントを主催する竹内愛さんは「朝から日が沈むころまで、現地の雰囲気を味わえます。雑賀崎の海を眺めながら沖縄の芸能を見てもらい、両県を一気に楽しんで」と熱を込める。

 50年前、沖縄から和歌山へ来た橋本敬子さんによると、明治末期から昭和初期まで紡績業が盛んだった和歌山市は、沖縄から多くの人が出稼ぎに来た。「工場のあった手平や宮前地区には、移り住んだ人の子や孫が今もたくさんいます。故郷を恋しく思う人たちのきずなは強く、世代が変わった今も変わらず、つながり合っています」。さらに「温暖な気候が似ているからか、『沖縄時間』『和歌山時間』と言われるように、のんびりとした県民性は一緒ですね」とほほえんでいた。

たかのすフェスティバル

7月31日午前11時~午後6時40分。詳細はオーシャン(070・2278・3386)。

(ニュース和歌山/2022年7月9日更新)