建築家と画家が奉納

 紀三井寺境内の天空かふぇで参拝客を迎える天女。壁に描いたのは、和歌山市にアトリエを構える建築家の田村茂さん(74)と画家の渡里幸さん(75)だ。「和歌浦湾を眼下に望むこの場所に合うものをと、飛翔する天女にしました」と口をそろえる。

 全国の遊園地でメリーゴーランドや迷路を設計してきた田村さんは40歳で絵を始め、台湾で個展を開いたこともある。2012年の熊野本宮大社を皮切りに、紀州東照宮、高野山の寺など15寺社へ壁画や絵を奉納してきた。

 今年4月には、紀三井寺の依頼を受け、開通したケーブルカーの山上駅と、本堂へ上るエレベーターをつなぐ遊歩道に、ろうそく型の献灯台を建てた。「和歌山を代表する寺で生涯の仕事ができた。そのお礼にと、壁画制作を願い出ました」と話す。

献灯台と観音石像をつなぐ白い舗装部分には、西国三十三所の札所の砂を使った

 壁画は、高齢者施設へ寄贈する絵を合作してきた渡里さんに声をかけ、約1ヵ月かけて6月7日に完成。店内の壁に、ゆったりと空に浮かぶカラフルな天女4体を描いた。前田泰道貫主は「庭にはハスをイメージしたオブジェもあり、天女が舞う極楽世界でほっこり身を遊ばせるような感覚になれますね」と喜んでいる。

(ニュース和歌山/2022年7月23日更新)