昭和33年作 歌は三波春夫  95歳、中吉弘さん中心に活動

 戦後を代表する浪曲師で演歌歌手の三波春夫さんが歌った『海南音頭』。昭和30年代に海南市内の盆踊りで使われたこの曲に再びスポットを当てようと、同市の中吉弘さん(95)を中心に有志が活動している。漆器、和傘と地場産業に勢いがあったころに作られ、メンバーは「再レコーディングに加え、現代版の歌詞を作り、踊りも復活させたい」と意気込む。

レコードは下津図書館で9月25日㊐まで開かれている「海南市のじまん展示 唄」で見られる

 『海南音頭』は同市と海南商工会議所が昭和33年(1958年)に制作。詞には「和傘(わがさ)」や「黒江の膳(ぜん)」、「日方川 派手な浴衣にネオンも映えて」など、地場産業や町の様子がつづられている。海南文化協会文芸部主催の作詞コンクールで選ばれた高井みたびさんの詞に、上山玄海さんが曲を付けた。当時は地元の盆踊りで流され、70歳以上には記憶している人は少なくない。

 湯浅町で生まれ、長く和歌山市で暮らした中さんは7年前、海南市内のシニア向けマンションへ。そこで出会った友人から、『海南音頭』の歌詞だけを受け取った。「見ると、歌は私が大好きな三波春夫さん。貴重な曲を活用できないか?」と思い立った。

 曲について調べていた昨年、海南文化協会邦楽研究部の武田正一さん(77)がレコードを保管していることが判明。聴かせてもらった中さんは「さすが、国民的歌手の歌に感激しました」。今年に入り、市民の取り組みを同市が補助する「まちづくりイベント事業」に〝海南音頭復活プロジェクト〟と題して応募し、支援事業に選ばれた。

 まず取りかかったのがレコーディングだ。元音楽教員の上田実さん(72)が吹奏楽用に編曲し、7月、海南第三中学校吹奏楽部が県民文化会館で録音した。部長の井上汐空(きよら)さん(15)と副部長の山﨑幸奈さん(14)は「今回、初めて知った曲ですが、当時の海南のことを想像しながら演奏しました」、副部長の𠮷田千代さん(14)は「思わず踊り出したくなる曲。吹いているだけで楽しくなりました」とにっこり。

海南三中生が録音に協力

 今後、海南三中生の演奏をバックに、プロ歌手の歌を収録し、11月の紀州漆器まつりで披露する計画。プロジェクトメンバーの池原弘貴さん(52)は「下津町と合併したのをふまえ、新しい詞を作る案があります。踊りも復活させてワークショップで広め、来年夏の下駄市ではやぐらを組んで、盆踊りをしたいですね」と夢はふくらむ。

 レコードを所有する武田さんは「昭和30年代の海南を的確に表現しており、時代がよく分かる。地元の曲として後世につながれば」。中さんは「あらゆるイベントで流してもらい、海南の歴史や観光を再認識するきっかけに」と願っている。

(ニュース和歌山/2022年9月10日更新)