和歌山市の角田将哉さん 個人で全国初

 温州みかんのおいしさを海外へ届けようと、和歌山市永山で農業を営む角田将哉さん(48)がベトナムへの輸出を始めた。個人農家では全国初で、「他の農家にも参入してもらい、和歌山市のみかんをアピールしていけたら」と意気込んでいる。

梱包作業を行う角田さん

 同国への温州ミカン輸出は、病害虫のミカンバエが発生していない地域に限り、2021年10月に解禁された。翌11月、JAグループ和歌山、和歌山県、JETRO和歌山が日本で初めて送った。1年目は約2㌧、2年目となるこの冬は約18㌧。県食品流通課によると、現地の高級スーパーや輸入食材店で販売されており、「甘くて味が濃い。香り高くジューシー」「中の皮がやわらかく、そのまま食べられるのがうれしい」と好評を得ている。

 角田さんは化学肥料ではなく、鳥の羽や骨粉などの有機質肥料を使ってみかんを栽培してきた。JAに卸すほか、個人で神奈川県大和市の市場に出荷している。昨年1月、和歌山市中央卸売市場の仲卸業者から提案を受け、ベトナムへの輸出を決断。畑や選果場にミカンバエが発生していないか、神戸植物防疫所が行う検査に合格した。

 ベトナムでは旧正月を祝うことから、旧暦の元日にあたる1月22日を控えた10日に1㌧を出荷した。角田さんは「新年向けの贈答用に販売されています。現地の評価を聞き、今後も輸出を続けてゆければ」と話している。

(ニュース和歌山/2023年1月21日更新)