創業100年以上となる漆器の島安汎工芸製作所(海南市大野中)が、独自技術を元にアウトドアブランドDoMeGe(ドメギ)を立ち上げ、ネットを中心に販売を始めた。テーブルやランプシェード、マグカップなどオリジナル商品を展開。島平社長は「第二次キャンプブームと言われる中、キャンプサイトで個性を出したい人にアプローチする」と意気込んでいる。

DoMeGeを立ち上げた島平社長(右)と、三男の伽都久さん

 1980年代からキャンプに親しんできた島社長。昨年、ブログに「キャンプのランタンはやっぱりガスじゃないと」と書いたところ、知人から「遅れてるよ。いまは(アウトドアブランド)ゴールゼロのLEDランタンが人気」と聞かされ、そのランタンをもらった。

 確かに、使い勝手が良く、ランタン用シェードなどカスタムパーツが売れていることも分かった。一方、本業の漆器は、コロナ禍で式典が激減し、贈答用などの需要が落ち込んいた。「木工や塗りなど漆器の製造技術を生かせば、独自のパーツや、アウトドア用品を作れる」と昨年6月に「島安野外部」を立ち上げ、商品開発を始めた。

 持ち運びしやすいよう板の一部をくり抜いて手を入れられるようにしたちゃぶ台、収納ボックスのトランクカーゴをテーブルにできる天板、商品として販売していた木の葉型の器を加工したランタン用シェード。さらに、重箱技術を応用したティーボックスや、檜の間伐材を集成し加工したビアカップなど次々と新商品を作り出し、早くも20種余りを展開するほどだ。

マグカップと椀、トランクカーゴにピッタリの天板

 最近は異業種とのコラボも進めており、中華用お玉を加工した上、長男の圭佑さん開発の幻想的な塗装を施したランプシェードや、鉄製の蚊取り線香立て、たき火台にも取り組む。

 三男で営業担当の伽都久(かつひさ)さんは、「ドメギが本格的に動き出したのは今年に入ってから。アウトドアシーンに新しい風を吹かせ、これらのグッズをきっかけに、最終的には伝統の漆器を広めたい」と思いを込める。

 「DoMeGe」は「ドメスティック・ギア(国産アウトドア用品)」から名付けた。島社長は「かわいらしいアウトドア用品なんて昔はありませんでした」と笑いながら、「キャンプサイトでコーディネートを楽しむ女性も視野に、オシャレなグッズも充実させていきます。後発アウトドアブランドでも100年以上培ってきた技術を生かし、名乗りを上げたい」と前を見据えている。

(ニュース和歌山/2023年7月1日更新)