和歌山から世界へ──。ソーラーカー、レスリングの分野で腕を磨いてきた若者たちがこの夏と秋、海を渡り、各国の強豪に立ち向かう。若き挑戦者たちに、戦いに向かう今の思いを聞いた。
和大 ソーラーカープロジェクト
過酷な〝大陸縦断レース〟
10月22日から5~7日間で、オーストラリア大陸約3000㌔を縦断する世界最高峰のレース「ブリヂストン・ワールドソーラーチャレンジ」に、和歌山大学ソーラーカープロジェクトが初挑戦する。
70人以上いるメンバーのうち、現地には15人が向かう。「オルカ」と名付けた車は、縦5㍍、幅1・3㍍、高さ1・25㍍で、重さは170㌔。時速60~70㌔だが、モーター次第で100㌔以上出すことも可能だ。
レースは1987年に始まり、99年からは隔年開催で、今年はアメリカ、中国、オランダなどから40以上のチームが参加する。和大が挑むのは、ゴールまでの時間を競うチャレンジャークラス。コースの大半が砂漠地 帯のため、昼夜の寒暖差が激しく、サバイバル的要素もある。
同大助教で、プロジェクトOBの谷口祐太さんは「私が現役だった12年前の技術力では、この大会に出るなんて夢のまた夢」と、レースに立ち向かう学生たちに敬意を払う。特に、いかに空気抵抗を減らせるかシミュレーションを繰り返し、極限まで車体の無駄をそぎ落としたことを評価。「完走が期待できる車になった」と喜びを隠さない。
同プロジェクト代表でシステム工学部4年の田所遥斗さんは「ソーラーカーを作る人なら必ずと言っていいほど目標にする大会。半数以上が完走できずに終わってしまう過酷なレースなので、OBの方々から受け継いできた技術を駆使し、まずはゴールを目標に、楽しんでレースに挑みたい」と目を輝かせる。
和歌山北高 レスリング部
仲間たちの思い 背負って
和歌山市市小路の和歌山北高校1年、山本海星選手は7月31日~8月6日、トルコのイスタンブールで開催される、世界選手権U17(17歳以下)グレコローマン45㌔級に出場する。
4月のJOCジュニアオリンピックカップ決勝で、中学時代に3回対戦し、負け続けていた相手に逆転で初勝利。世界大会出場権を手にした。「ずっと勝てなかった相手に勝てたのがうれしかった」と振り返りながら、後で試合動画を見直し「世界に行くんだ」と実感がわいてきた。
同部は3年の有田英慎(えいしん)選手(写真右)が7月にヨルダンで、2年の松本晃大(こうだい)選手(同左)が6月にキルギスで開催されたアジア選手権でひと足先に戦っている。
U20(20歳以下)グレコローマン60㌔級の有田選手は、ひざの故障で万全の状態でなかったこともあり、ウズベキスタン選手に初戦敗退。「負けましたが、周りのサポートがあって戦えてきたんだと、大切なことに気づきました」と話す。
一方、松本選手はU17フリースタイル110㌔級の初戦を落とし、ウズベキスタン選手との3位決定戦へ。序盤は順調だったが、後半、相手のローリングに苦戦し敗退した。「もう少し粘れていたら…。戻ってからはローリングへの切り返しを改めて練習中。今の目標はインターハイでベスト4」と熱を込める。
先輩たちの無念を胸に山本選手は「初海外なので緊張する。厳しい戦いになると思うが、仲間の思いを背負い、3位以内を目指す」と意気込む。
(ニュース和歌山/2023年7月29日更新)