和歌山県自然博らのチーム 解明

 海南市船尾の和歌山県立自然博物館学芸員らでつくる研究チームが、2006年に有田川町の鳥屋城山(とやじょうさん)で発見されたモササウルスの化石は新属新種と解明。昨年12月、イギリスの学術誌に論文を発表した。同館の小原正顕学芸課長(写真)は、「今回の研究により、これまで考えられてきた以上に多様な進化を遂げていたことが分かり、モササウルス類の研究を大きく進展させる」と期待を寄せている。

       全身の約8割の化石が見つかっている

 モササウルスは約9800万年前に出現した海生は虫類の一種で、約6600万年前、恐竜とともに絶滅した。大型だと10㍍を超え、「海の王者」として君臨していた。

 研究チームは、ギリシャ語で「大きい翼」を意味する「メガプテリギウス」と、ラテン語で「~産の」の「エンシス」を合わせて「メガプテリギウス・ワカヤマエンシス」と名付け、新属新種として発表。また、多くの人に親しんでもらうため、通称を「ワカヤマソウリュウ」とした。

ワカヤマソウリュウの生体復元図(上)と化石の産出部位(中央と下)

 特徴は、脚ヒレが頭骨よりも長く、前ビレよりも尾ヒレの方が長いこと。これにより、従来のモササウルス類はサメのように、大きな尾ヒレを使って、体をくねらせて泳いだと考えられてきたが、ワカヤマソウリュウはウミガメのように、前ビレで水をかいていたのではと推察した。また、本来は後方へ傾いている、背骨にあるトゲ状の突起が、一部前方へ曲がっていると判明。イルカと同じような背ビレがあったと新説を唱えた。

 尾を除く全身の骨格化石がほぼすべて保存されているモササウルス類の化石は、国内だけでなく世界的にも例が少ない。小原課長は「これまでのモササウルスとの違いを実感してもらえるよう、館内に複製を展示しています」と話している。

(ニュース和歌山/2024年1月6日更新)