「ハーブを気軽に使ってもらいたい」と、いまきファーム(紀の川市北長田)の今木史典代表が1月、イタリアンパセリのソース「和風サルサ・ヴェルデ」を開発、販売を開始した。「緑のソース」を表し、たっぷりのイタリアンパセリに、オリーブオイル、アンチョビ、ニンニクなどを混ぜ合わせたイタリアでは定番のソース。今木さんは「しょう油やマヨネーズのように、日本の食卓に並ぶとうれしい」と期待を込めている。

今木史典さん(左上)と従業員が、収穫後すぐに加工。香りが逃げないよう閉じ込める。

 いまきファームは2013年開設の農園で、タイムやローズマリー、スペアミントといったハーブ20種類を扱う。首都圏や大阪などのスーパー、レストランに卸すほか、一般販売もしている。

 当初から課題に感じていたのが、収穫量の調整だ。旬の前後にも十分に収穫できるよう植え付けると、ピーク時には生産過剰になる。そこでレモンバーベナなどをドライハーブに、続いてバジルソースを製品化した。

 サルサ・ヴェルデも考えたが、周囲に知っている人がいない。「作ってもムダになる」とあきらめていたところ、昨夏、下津町のみかん農家からイタリアンパセリの注文が入った。何に使うのか尋ねると、依頼主は元シェフで、料理講習でサルサ・ヴェルデを作ると聞いた。「知られていないから作らないではなく、知っている人を増やせばいい。自分が広めよう」と思い立った。

 イタリアンパセリが最盛期を迎えた12月、試作に取りかかる。「より多くの人に味わってもらいたい」と、日本人の口に合うよう和風にすると決め、素材を再検討。アンチョビはうまみ成分が多く含まれる昆布茶に、ケッパーの酢漬けは梅パウダーに、白ワインビネガーは純米酢に替え、1㌘単位の微調整を7回繰り返した。

カルパッチョにかけるのもオススメ

 意識したのは、酸味と塩味を控えめにすること。出来上がったソースはパスタはもちろん、魚介類との相性が特に良い。試食した岩出市のビストロムッシュ、小谷壮彦さんは「イタリアンパセリをふんだんに使用しており、緑色がとても鮮やか。味はすっきりし、蒸した鶏肉にも合う」。イルメント(同市)の藤井健太郎さんは「クセがなく、清涼感のある香りが特徴。焼き魚に添えるなど、純和風でも楽しめる」と絶賛する。

 今木さんは「迷いましたが、最後は自分がおいしいと思える味に行き着きました」と自信の表情。「日本では珍しいサルサ・ヴェルデの味を広め、食卓にハーブを取り入れるきっかけを作りたい」と意気込んでいる。

 200㌘。1500円~。いまきファームとネット通販ほか、四季の郷で取り扱い中。

(ニュース和歌山/2024年2月17日更新)