多世代の居場所づくりに

 子どもらと食を通じてつながろうと、スクールソーシャルワーカーの吉田伸一さん(54)が和歌山市加太の総合交流センターで3月24日、「まちかど子ども食堂」を開いた。荷台で調理できる軽トラックを利用した、県内では珍しい移動式食堂で、この日は「防災食を食べてみよう」をテーマに、レトルトのハンバーグやサバの味噌煮、手作りの豚汁などを、子ども無料、大人100円で提供。参加者は談笑したり、子どもが遊ぶのを見守ったりと、穏やかなひとときを過ごした。

「通称『こども屋台食堂』です」と吉田さん

 吉田さんは加太小学校などで働く中、こども食堂に足を運ぶ不登校や引きこもりの子がいると知り、「食が支援のきっかけになるかもしれない」と準備を始めた。知り合いの大工が車の改装を引き受け、当日は加太地区民生委員が配膳を手伝ってくれるなど周囲の協力もあり、2月、初開催にこぎつけた。

 2回目の今回は、あいにくの雨模様だったが、およそ35人が訪れた。宮津壱成くん(8)と妹の吟さん(5)は、初めての防災食を「おいしい」と味わった。母親の真名美さん(35)は、「近隣の人が気軽に集まり、アットホームな雰囲気。子どもを連れて出かけるきっかけにもなります」とにっこり。食事の後は、県危機管理・消防課が防災講座として地震や津波を分かりやすく解説した。

 市外での活動も視野に入れる吉田さんは「幅広い人の居場所となる多世代食堂を目指しています。食事を提供したいが調理場がないとお困りの方は、ぜひお声かけください」と呼びかけている。

 こども食堂の出張依頼は吉田さん(090・5890・5387)。

(ニュース和歌山/2024年4月20日更新)