アメリカでの暮らし判明

 全国6位の移民県だった和歌山にかかわる資料を、和歌山市西高松の和歌山県立文書館がホームページで公開している。明治中期にアメリカのサンフランシスコへ渡った紀三井寺村(現・同市紀三井寺)の岩﨑甚四郎さんと、田中村(現・紀の川市東大井)の堂本誉之進さん、兼太郎さん兄弟の手紙や事業関連書類など約240点。従来は移民の子孫や研究者から公開希望があればコピーを見せていたが、それも年に数件。同館は「HPで簡単に検索でき、拡大もできますので、確認しやすい」と活用を呼びかけている。

「米国」と書かれた袋と手紙

 資料は岩﨑家、堂本家から寄託、寄贈されていた。甚四郎さん関連は、日本でパスポートを申請する書類や現地から送られた手紙をアップした。同館は「農業に従事していた甚四郎さんが『5ヶ月間雨がち』『雨の中の作業はなかなか大変』と困っていた様子が分かります」と話し、甚四郎さんが亡くなった時は、「日本人らが葬儀をし、香典や車代なども記されています」と解説する。

 また、花き栽培で成功した堂本兄弟の資料からは、日本から送った植物などの種苗種類や輸送方法、費用などが書かれた帳面を公開している。

 同館は「資料約1100㌻分があり、当時の暮らしぶりが分かります」と説明している。

(ニュース和歌山/2024年5月4日更新)