和歌山市の角谷祐実さん 海南市で模擬教室主催

 話し言葉が滑らかに出ない「吃音」。この障害に悩みながらも、教員になる夢を追う和歌山市の角谷祐実さん(写真)が2月18日㊐、海南で「号令に時間がかかる教室」と題し模擬授業を行う。角谷さんは「普段、苦手な言葉は避けて話していますが、当日は吃音への理解がある人ばかり。気にせず思い切り話したい」と前を向く。

 教室は昨年12月に大阪で始まり、京都、徳島に続き海南は4ヶ所目。角谷さんら先生役の学生3人が、吃音はどんな障害か紹介した後、生徒役の参加者が3班に分かれ、吃音のある人への対応について意見を出し合う。

 大阪教育大学で特別支援教育を学ぶ角谷さんは、一つ目の言葉がうまく出ない「難発」と、同じ音を繰り返す「連発」が主な症状。小学生の時、同級生にしゃべり方を真似されたり、「ちゃんとしゃべって」と言われたりした。「『みんな当たり前にできるのに、なぜ私はうまく話せないんだ』と悔しくなりました」と振り返る。

 中学時代に訪れた紀北支援学校で手話に出合ったのを機に、他の障害にも関心を持ち始めた。高校1年で、養護教諭に「特別支援学校の教員になりたい」と話すと、「障害をもつあなただからこそ、同じように悔しい思いをする子どもたちに寄り添った先生になれる」と背中を押してくれた。

 昨年8月、同教室の発起人、奥村安莉沙さんがSNSに「吃音で思うように話せないけど、教員の夢がある人はいますか?」と投稿しているのを見つけて返信。悩みを打ち明けていく中で、教室開催を決意した。角谷さんは「同じ障害、同じ夢を持つ人たちに、理解して力になってくれる人がいると知ってほしい。そうすることで今後、同じ悩みを持つ人に出会った時、力になってあげられるはず」と熱を込める。

 生徒役希望者は2月11日㊐~17日㊏、「号令に時間がかかる教室」HPから応募。

(ニュース和歌山/2024年2月10日更新)