ぶらくり周辺 再活性化目指す

 長年、地元住民に愛されてきた元カバン店「ベニヤ」(和歌山市本町)のビルが6月5日㊍、泊まれるバル「ベニー(仮称)」として生まれ変わる。期待されるのは周辺エリアのにぎわいを呼び戻す起爆剤の役割。プロジェクトを手掛ける地元不動産会社和みの永田大樹マネージャーは「地元の人や国内外の観光客が交流し、『和歌山はいい町』と思ってもらえる場所にする」と目を輝かせている。

                           ベニーのイメージ図

 フォルテワジマの南向かいにある同ビルは、このエリアが全盛だった1977年に建てられた。1階と中2階を階段でつないだ店舗空間には当時、商品を吊り下げて(ぶらくって)陳列しており、商店街の歴史やルーツを体現する店のひとつ。閉店後は長年そのままだったが、ビル再生にあたって建物の構造は変えず、泊まれるバルとして、お酒や食事だけでなく、カフェ利用もできるようリニューアルする。

 隠れ家風の半地下で、カウンター席を設けた1階部分は、客同士の距離が近くなる。一方、2階はソファを置き、ゆったりとした時間が過ごせる。事務所だった3、4階は宿泊施設とし、80年代の北欧をイメージしたデザインになっている。

永田マネージャー(左)と水口店長(中央)

 今月6日にお披露目イベントを開催。50人近く集まり、「昔はここにカバンが吊されていたなぁ」と懐かしむ人や、「ずっと閉まっていたけれど、中はこんな風になっていたんだ」と、ベニヤを知らない世代も参加した。水口莉沙店長は「市内中心地に建っているのでみなさん再生に注目してくれている。期待に応えると共に、気軽に足を運んでもらえる店を目指します」と意気込む。

 営業時間は午後5時〜10時半。店についてはインスタグラム「beniya.wakayama」。

和歌山を空き家対策先進県へ

 和歌山は徳島と並び、空き家率が全国ワースト1位と深刻。そんな中、同社は2月に和歌山市から、空家等管理活用支援法人に指定された。これは県内民間企業では初めて。空き家を再生・収益化することで、地域の活性化に取り組むと共に、投資型の不動産クラウドファンディングで関係人口の創出を目指している。今回の同ビル再生は指定後のプロジェクト第一弾。都市建設局空家対策班の中村英人班長は「民間企業ならではの手法で問題に取り組んでくれている。ベニヤビルを中心に、商店街や周辺地域全体に波及効果が生まれ、また活気が戻ってくることを願っています」と話す。永田マネージャーは「私たちだけでは問題解決まで届かない。地元のほか、県外からも協力してもらって関係人口を増やし、ゆくゆくは和歌山を空き家対策先進県に変えていきたい」と熱を込める。

 詳しくは「アセットコンパス ベニヤ」で検索。

(ニュース和歌山/2025年5月17日更新)