「高野山へ行きたいのですが、どうすれば良いですか?」。外国人観光客の質問に対応する県内の宿泊施設や観光案内所、土産物店、飲食店向けに、県は8月、「多言語電話通訳・簡易翻訳サービス」を始めた。これまで登録施設は100件弱で利用は1日1件ほどだが、県観光交流課は「増え続ける外国人観光客に満足してもらえるよう、登録を増やしたい」と意欲的だ。

 県内の外国人宿泊者数は2011年の8万人から15年は43万人に急増。また、旅行中に困ったこととして、36%が施設スタッフと意思疎通できないことをあげる。

 和歌山で宿泊する外国人は以前、夜に和歌山入りし、朝出発する団体客が主だった。ここ1、2年は個人客が増え、質問も多様化。マリーナシティホテル宿泊課の福間豪志マネジャーは「大阪や関西空港、高野山への行き方を聞かれることが多くなりました」。英語を話せるスタッフはいるものの、手薄な時間帯は対応に困ることがあった。

鹿_dc 対策として、県の電話通訳サービスを活用すると、身振り手振りで説明していたことがスムーズにゆき、時間短縮につながった。福間マネジャーは「こちらの言いたいことが正確に伝わる」と歓迎する。

 一方、和歌山城前のロイネット1階にあるカフェ&ダイニングバー・リシェは翻訳サービスを使い、ステーキやピザ、パスタなど91種類を日英併記にした。メニューに写真を付け、見た目で分かるように気を配るが、それでも「これは何?」と質問された。熊野牛や古座川の鹿を使う料理もあり、奥野安津紀ゼネラルマネジャーは「英語があるので何の肉か分かってもらえる。菜食主義の方にも安心して対応できます」と喜び、今後、中国語も併記する。

 通訳・翻訳は英語、中国語、韓国語、フランス語など10言語。年2000円。同課(073・441・2785)。

 

写真=英語を併記したメニュー

(ニュース和歌山2016年10月1日号掲載)