日赤和歌山医療センター がん患者の悩み軽減
[資生堂協力] アピアランスケアセミナー
日赤和歌山医療センター(和歌山市小松原通)のがん相談支援センターが3月19日㊍、同病院で「アピアランス(外見)ケアセミナー」を開催した。がん治療に伴う外見の悩みを軽減しようという取り組みで、化粧を通じた社会活動「ライフクオリティーメイクアップ」を全国で展開する資生堂ジャパン株式会社が協力。参加者らはメイクの実習に臨み、和やかな時間を過ごした。
望む生活支える
アピアランスケアとは、薬物療法や放射線治療による脱毛、皮膚の変色、爪の黒ずみなどで見た目が変わっても心地よく生活が送れるよう、医療関係者や家族、専門家、または自身で行う対処や工夫を指す。
外見の変化が心に与えるダメージは想像以上に深い。国立がん研究センターの調査によると、乳がん患者の場合、つらいと感じる上位20事例の6割を見た目の変容が占めており、精神的苦痛が日常生活に支障を及ぼしているとの指摘もある。
同病院が初めてこのセミナーを導入したのは昨年3月。認定がん専門相談員で看護師の石丸昌美さんと、同じく社会福祉士の中村敬子さんが、副作用で容姿が変わった患者たちから「外出が億劫になった」という声を聞いたのがきっかけだった。「病気の治療だけでなく、望む生活を維持できるようサポートすることも重要」と考えた二人。がん患者への支援に取り組む資生堂の活動を知り、早速実施したところ、「すごく楽しかった」「きれいになった自分を見てうれしくなった」「ほかのがん患者さんと話をして、私だけじゃないと思えた」といった反響とともに治療に対する意欲的な姿勢が見られたことから、継続開催を決めた。
患者同士の交流
今回は患者や家族ら22人が参加。資生堂スタッフから肌の変色に対応するファンデーションの使い方や、眉毛が無くなった場合の自然な描き方などを教わり、実践した。真剣に鏡をのぞき込んで手を動かし、隣同士互いに顔を見合わせて「素敵!」「いいね」とニッコリ。コツを質問したり頬紅や爪の美容液を試したりと、会場は華やいだ空気に包まれた。
子宮体がんを患う中谷由理さん(65=写真)は、娘に勧められ一緒に参加した。「眉の描き方などを学べて良かった。脱毛で落ち込んでいたが、おしゃれをして気持ちが明るくなった」と声を弾ませた。卵管がんを発症し、頭髪や眉毛の減少に悩む50歳代の女性は「共通の不安を抱える人たちと交流できて心強かった」と振り返りながら「病気と共に一歩ずつ歩み、同じ境遇の患者さんたちに希望を与えたい」と語った。
資生堂の森田真紀子さんは「自分らしく生活しようという意識の高まりを感じた。メイクが前向きな心の支えになれば」と期待を寄せる。石丸さんは「患者同士の横のつながりが生まれ、支え合う関係が築かれている。『がんになったから何もできない』ではなく、『こういうこともできる』と世界が広がるきっかけにしたい」と話した。
がん相談支援センター 患者、家族に対応
同病院のがん相談支援センターでは院内外を問わず、がん患者本人や家族からの、がんに関する悩み事を電話または対面で受け付けている。平日午前9時〜午後4時半まで。匿名可。無料。同センター(直通073・423・6207)。
(ニュース和歌山/2026年5月16日更新)

























