スポーツ・健康をテーマにした展示・交流スペースで、生まれ育った町に恩返し——。市立和歌山商業(現・市立和歌山)出身の元高校球児で、静岡で事業をしていた種子永(たねなが)明さん(70)が6月16日、ぶらくり丁に和歌山スポーツ応援会事務所を開設した。現状、展示の大半は野球が占めるが、種子永さんは「野球にこだわらず、スポーツや健康に関心のある人に足を運んでもらい、人と人がつながる場に」と思いを込める。

 

 ぶらくり丁西端近くの事務所。壁には、和歌山にかかわりの深い現役・OBプロ野球選手、社会人選手のサインボールや色紙がズラリと並ぶ。ソフトバンク小久保裕紀ヘッドコーチが2千本安打した時のパネルや記念バット、ユニフォームも間近で見られる。

野球を通した知人らのサポートを受け、事務所開設にこぎつけた種子永さん(左から2人目)らスポーツ応援会のメンバー

 種子永さんは「和歌山にスゴイ選手がいたことを伝えたい。展示は寄ってもらう仕掛け」と笑う。

 ゆっくり過ごしてもらおうと、テーブル、イスに加え、2階はティーバッティングやゴルフ練習用のネットを張った。

 「子どもや孫と来て、ボールを使って遊んでくれればいい。それが野球人口増につながればいいですが、それよりもここに来ることで、薄れつつある人間関係の復活につながると嬉しい」

壁には和歌山出身の現役・OBのプロ野球選手や社会人選手のサインやユニフォームが並ぶ

 市和商時代は4番ファーストで活躍した。卒業後も社会人のユニチカで続けたが、わずか3年で廃部。その後、静岡で起業した。故郷を離れても、「和歌山の役に立ちたい」との思いを忘れることはなかった。

 仕事に区切りを付け、本格的に動き出したのは1年前。「和歌山は野球王国と言いながら、野球に携わる人のつながりはそれほど強くないのでは」。そう感じていたことで、交流拠点開設を決めた。ぶらくり丁を選んだのは、賑やかだった昔を偲び、「この場所が、街なかに足を向けるきっかけに」と考えたからだ。

 展示は、今後徐々に増やす。また、講演会や、学校のクラブと共同で交流イベントなども視野に入れる。「アイデアがある人がおこに集まって、形にしていける拠点にしたい」。思いは尽きない。

■和歌山スポーツ応援会
和歌山市本町2丁目46
☎080・9751・0628
営:午後1時〜5時
休:火曜・木曜
入場無料(施設内の設備利用も無料)

(ニュース和歌山/2021年7月3日更新)