和商3年 地域と連携し活動

 阪神・淡路大震災からまもなく27年。南海トラフ地震の恐れがある和歌山で、和歌山市砂山南の和歌山商業高校3年生15人が、災害時に役立つ情報の発信と防災グッズの開発に取り組んでいる。

 商業科目「電子商取引」を選択する生徒が、2018年から南海トラフ地震の防災・減災をテーマに、地域団体や近隣の学校と協力しながら活動する。今年度は3つのプロジェクトを実施した。

 情報発信は2チーム。1つは防災設備の啓発で、砂山今福防災公園の管理団体から、災害時にかまどやテントとして利用できるベンチなどの講習を受け、いざという時に使えるよう、手順を紹介する動画を製作した。もう1つの防災植物チームは、災害時の食料・栄養不足を改善しようと野草に注目。防災植物協会から食べられる植物を学び、調理方法を動画にまとめた。

 一方、防災グッズの開発チームは、前年の3年生が和歌山工業高校と協力して作った、聴覚障害者の意思表示を助ける筆談ボードに改良を加えた。隣接する和歌山ろう学校の生徒に聞き取りし、「ケガ」「さがしてる」など指差しで伝えられる絵をはり、暗い場所で使うことを想定し、LEDライトを付けた。

 12月10日にはろう学校の生徒にグッズを説明し、防災用かまどで調理したヨモギのパスタとみそ汁をふるまった。筆談ボードを紹介した米澤結さんは「絵を増やし、光の色を調整してほしいと、さらに具体的な意見をもらいました」。防災植物班の垣内優吾さんは「ヨモギに抵抗はあったが、意外とおいしかった。皆の命を救うために食べ物の情報発信は大事」と話す。

 地域とともに活動する姿勢が評価され、今年度のぼうさい甲子園でグランプリに選ばれた。担当の川口敦志教諭は「社会的な枠を超え、いろんな思いを持つ人々とつながり協力し合う経験は、もしもの時に役立つ。学んだことを生かせる人材になってほしい」と願っている。

写真=防災公園のかまどベンチでヨモギ入りパスタを調理。この様子を撮影し、1月中に動画で配信する

(ニュース和歌山/2022年1月15日更新)