『紀伊続風土記』に「不動瀧 高十二間計 村の南端にあり大岩壁立して水倒下す壮観なり不動ノ社あり」と記す。記述どおり、滝の前に今も不動明王尊の祠がある。

 和歌山には不動明王を祀る不動の滝がいくつかある。昔、この滝上にある天狗岩という大岩に天狗が棲み、いたずら好きで村人を悩ませていた。そこで村人は総掛かりで一字一字経文をしたため、大乗妙典塔に納経した。そうとは知らない天狗は塔に入り、出られなくなった。大乗妙典は、衆生を迷いから悟りの世界に導く教えを記した経典だという。

 天狗岩と不動滝は、こうした村人の信仰を集めた神々の座なのである。滝は3本の滝筋をもった三条の滝で、あの那智の滝と同じく、三柱の滝だ。

(ニュース和歌山/2018年2月24日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。