昔、村に立派な寺が建っていた。お堂にはたくさんの宝物が納められていたが、あろうことか住職がこれを無断で持ち出し、売り払ってしまった。怒った村人たちが詰め寄ると、住職はあたふたと逃げ出した。村人たちに追われた住職は、逃げ場を失い、とうとう滝壺に身を投げた。

 もう一つの話では、干ばつのため村人が困っているのを見かねたお坊さんが、10日間に及ぶ雨乞いの末、ついに大雨を降らせた。喜んだ村人たちが、礼を言おうと滝に来たが人影はなく、岩の上にきれいにたたんだ法衣と数珠が残されていた。以来、村人たちはお坊さんの霊を弔うため長年供養をしてきたと伝わる。

 滝は、魔物。和歌山の滝は、宝石のような逸話に輝き、彩られている。

(経路…県道194号を東進、途中から林道へ)

(ニュース和歌山/2019年3月30日更新。今回で終了します)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。