怖さ:3
山の妖怪
出没地域:紀南地域

 榧の木をご存知だろうか? 日本に分布するイチイ科の常緑針葉高木で、高さ25㍍、直径2㍍にまで育つ大きな木だ。和歌山にはそんな榧の木の妖怪が伝わっている。古い榧には精霊がすみ、木を傷つけられると叫び声をあげて、木から飛び出して来るのだそうだ。その姿は美女である事が多く、傷つけられた時には、肌から真っ赤な血を流して人前に現れ、切った人をたたる。榧の木材は丈夫で美しく、様々なかたちで活用され、特に榧の将棋盤等は最高級品である。実は食用で、良質の油もとれるため、かつての人々はこの木を大切にした。そんな思いが妖怪を生み出したのだろう。

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 妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖しの世界に誘います。

(ニュース和歌山/2018年3月31日更新)