上戸川(こどがわ)支流の広瀬谷にかかる滝。その昔、百姓が滝の近くで草を刈っていると、滝壺から牛鬼が現れた。江戸期の妖怪絵巻によると、牛の顔、胴体が蜘蛛という恐ろしい妖怪。好んで人の影を舐めるという。舐められた人は高熱にうなされ死に至る。

 百姓は、必死に逃げたが、ついに影を舐められ、死んでしまった。話を聞いた村人たちは、正月に祝い膳とともに、牛鬼が好きな酒を滝の前に供えた。牛鬼は喜び、酒を飲みたさに、村人を襲うことはなくなったという。

 琴の形に似ていることから名がついたと伝わる。上戸(こど)の滝が変じ、琴の滝となったとも。大雨の後で水量も多く、さすがは、すさみ町が「すさみ八景」のひとつに選んだ絶景の滝だ。

(ニュース和歌山/2018年4月21日更新)

大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。